2008年5月30日金曜日

シンポジウム 「経済社会の将来展望を踏まえた大学のあり方」

本日(30日)、独立行政法人経済産業研究所(RIETI)が主催する政策シンポジウムが、国連大学ウ・タントホール(東京都渋谷区)で開催されました。

あいにくの小雨ではありましたが、経済産業省、文部科学省、財務省、大学関係者など約160名の多くの方が全国から参加されたようです。

経済産業省傘下の独立行政法人が大学の在り方を問うシンポジウムを主催すること、国内外の著名な研究者等を招聘していること、教育振興基本計画を巡るバトル真っ最中の財務省主計官と文科省課長のやり取りなど、興味と期待感をもって参加してきましたが、質疑応答も白熱しとても充実した、そして勉強になった1日でした。

シンポジウムの配付資料及び様子(動画)は、後日、RIETIのホームページhttp://www.rieti.go.jp/jp/events/index.html において公表されるようですので、今日は、シンポジウムの開催趣旨やプログラムについてご紹介します。(後日追加:配付資料は掲載されています。)

2008.7.8動画配信が開始されました。⇒http://www.rieti.go.jp/jp/events/08053001/handout.html

2008.7.17議事概要が掲載されました。⇒http://www.rieti.go.jp/jp/events/08053001/summary_1.html?id=nl


開催趣旨(RIETIホームページから)

国立大学法人という新しい仕組みが始まってから4年、日本の大学をめぐる情勢はいまだに安定していません。
国立大学全体に配分される運営費交付金は総額約1兆3000億円にのぼりますが、国立大学の使命に照らして適切に配分され使用されているのか、議論の対象になっています。
目に見える「成果」を研究や教育に求める声が高まる一方、大学という仕組みそのもの、とりわけ教育という営みには継続性・安定性が重要だという声もあります。
研究についても、競争的資金の重要性が増していますが、教育と一体となった基盤的な研究費については安定的に配分することが必要だという考えも提示されています。
さらに、こうしたマクロの議論は、ミクロのレベルにも反映します。学長の選任方法から教職員の勤務のあり方に至るまで、個々の国立大学の管理や運営のあり方は、全体的な制度の枠組みを離れては考えられません。そして、国立大学のあり方は公立大学や私立大学のあり方にも反映します。

こうした状況の下では、性急に結論を急ぐことより、根拠のある政策論を用意しておくことだと考えられます。
教育への国民の関心は深く、民主主義の下では国民の手に委ねられます。しかし、結果としてどのような政策が採られるにせよ、政策体系は全体として一貫したものでなければなりませんし、政策の選択は透明で合理的な議論に基礎を置かねばなりません。
本シンポジウムは、知識経済への転換という大きな節目を迎えつつある日本経済の現状を見据えつつ、そこで求められる大学像とは何かについて議論を深め、合理的な根拠に基づく政策形成(evidence based policy making)の実例を示すことを目的にしています。


プログラム(RIETIホームページから)

■基調講演 「日本の大学の国際化と競争力について」

 薬師寺 泰蔵(内閣府総合科学技術会議議員)

■第1セッション 「国立大学の果たしている役割と今後の課題」
  • セッションチェア:田中 秀明(一橋大学経済研究所准教授)

  • 概 説:玉井 克哉(RIETIファカルティフェロー/東京大学先端科学技術研究センター教授)

  • プレゼンテーション:「国立大学の果たしている役割と今後の課題」島 一則(広島大学高等教育研究開発センター准教授)

  • ディスカッサント:畠中 祥(コンサルタント/研究者)

■第2セッション 「運営費交付金の構造分析と改革」
  • セッションチェア:島 一則(広島大学高等教育研究開発センター准教授)

  • プレゼンテーション:「国立大学財政システムのあり方についての考察-運営費交付金の構造分析」赤井 伸郎(RIETIファカルティフェロー/大阪大学大学院国際公共政策研究科准教授)

  • プレゼンテーション:「運営費交付金改革-諸外国の経験と我が国の課題」田中 秀明(一橋大学経済研究所准教授)

  • プレゼンテーション:「大学改革-マネジメントと財政についての英国の経験」Quentin THOMPSON(教育コンサルタント)

■第3セッション 「大学のガバナンスの現状と課題」
  • セッションチェア:赤井 伸郎(RIETIファカルティフェロー/大阪大学大学院国際公共政策研究科准教授)

  • プレゼンテーション:「新たな経済と米国の大学の役割-経済成長を促す高等教育振興策」Michael K. YOUNG (ユタ大学総長)

  • ディスカッサント:羽田 貴史(東北大学高等教育開発推進センター教授)

■パネルディスカッション 「経済社会の将来展望を踏まえた大学のあり方」
  • セッションチェア:玉井 克哉(RIETIファカルティフェロー/東京大学先端科学技術研究センター教授)

  • パネリスト:(苗字アルファベット順)藤城 眞(財務省主計局主計官(文部科学担当))、羽田 貴史(東北大学高等教育開発推進センター教授)、永山 賀久(文部科学省高等教育局国立大学法人支援課長)、薬師寺 泰蔵(内閣府総合科学技術会議議員)、Michael K. YOUNG(ユタ大学総長)

シンポジウムの企画に当たったプロジェクトリーダーの玉井氏と、サブリーダーの赤井氏が、それぞれ事前にシンポジウムの概要等について寄稿されています。

●「長期的な日本の利益を考えた大学改革議論を」玉井 克哉
 ⇒http://www.rieti.go.jp/jp/special/af/043.html

●「国立大学財政ガバナンス:運営費交付金の構造を読み解く」赤井 伸郎
 ⇒http://www.rieti.go.jp/jp/columns/a01_0238.html
 ⇒http://www.rieti.go.jp/jp/events/08053001/pdf/5-1_J_Akai_PPT_o.pdf(シンポジウム発表資料)