2009年1月15日木曜日

国立大学の教育研究評価

国立大学法人の中期目標期間(平成16~21年度)の終了をにらんだ文部科学省の動き、具体的には中期目標期間の業務実績の評価結果(以下「中期評価」)を踏まえた国立大学法人の組織、業務等の見直しに向けた検討が既に開始されたことについては既にこの日記でもご紹介しました。

中期評価の核となる部分、つまり大学の使命そのものである「教育」「研究」に関する評価結果が、去る1月13日付けで、評価機関である独立行政法人大学評価・学位授与機構(以下「機構」)から各大学に通知されました。

「教育研究評価に関する評価報告書(案)の送付について」と題されるこの文書には、機構が行った教育研究評価の内容や評価結果に対する意見申し立ての方法等について記載されてあります。以下、通知の概要(読みやすくするために若干編集)をご紹介します。

1 評価報告書(案)の概要

今回送付した評価報告書(案)は、1)中期目標の達成状況に関する評価結果(案)、2)学部・研究科等の教育に関する現況分析結果(案)、3)学部・研究科等の研究に関する現況分析結果(案) で構成されている。

「中期目標の達成状況に関する評価結果(案)」には、「教育に関する目標」等の大項目ごとに、1)段階判定、2)判断理由、3)関連中項目の達成状況、4)優れた点、改善を要する点、特色ある点 が記載されている。

「教育に関する目標」「研究に関する目標」以外の大項目を複数掲げている場合は、大項目の整理上、「社会との連携、国際交流等に関する目標」として1つの目標としてまとめられている。

「優れた点、改善を要する点、特色ある点」は、以下の考え方に基づき、抽出されている。
  • 優れた点=中期計画「良好」の判定の判断根拠のうち、特に優れたもの
  • 改善を要する点=中期計画「不十分」の判定の判断根拠のうち、特に、指摘する必要があるもの
  • 特色ある点=中期計画「おおむね良好(又は「良好」)」の判定の判断根拠のうち、当該法人の様々な条件を考慮し、特色あるもの

「学部・研究科等の教育に関する現況分析結果(案)」及び「学部・研究科等の研究に関する現況分析結果(案)」には、「水準の分析項目」の1)段階判定、2)判断理由、及び「質の向上度」の1)段階判定、2)判断理由が記載されている。

各法人が作成した「達成状況報告書」等の中に、平成20年度以降の取組について記載されている場合があるが、平成20年度以降の取組については、平成22年度に実施する評価の確定作業の対象となり、今回の評価の対象とならない。

2 意見申立の対象

意見申立は、評価報告書(案)の記載に関し、1)記載内容に事実誤認があった場合、2)誤字脱字等の字句修正があった場合を対象として、意見の申立を行うことができる。なお、段階そのものに対する疑義や評価方法に対する意見は対象にならない。

事実誤認等の指摘を行う場合には、実績報告書(「達成状況報告書」「現況調査表」)(別添資料・データ含む)に記載された内容を根拠として行うこと。実績報告書等に記載された内容以外の新たな資料を根拠として指摘することはできない。

今後、各大学は、評価結果の妥当性等について検証を行い、意見等があれば、来る1月30日(金)17:00までに提出することになっています。

中期評価に係る一連の作業は概ね年度末まで続くことになります。今後は以下のようなスケジュールが想定されます。いよいよ、中期評価の大詰めです。
  • 平成21年2月19日 評価報告書の決定(大学評価・学位授与機構)
  • 平成21年2月末   評価報告書を文部科学省の国立大学法人評価委員会へ提出
  • 平成21年3月初旬  教育研究以外を含めた評価報告書(全体版案)を各大学へ送付(文部科学省)
  • 平成21年3月中旬  各大学から最後の意見申し立て
  • 平成21年3月末   各大学へ評価報告書(決定版)を送付(文部科学省)

(参考1)平成19年度に係る各国立大学の業務実績の評価結果一覧

文部科学省のホームページに公開されています。興味のある大学の評価結果をのぞいてみてはいかででしょうか。折しも入試のシーズンでもありますし・・・。

(参考2)大学改革と評価(大学評価・学位授与機構)

東京工業大学長、中央教育審議会副会長を歴任した木村機構長が、我が国における大学改革の必要性や大学評価の実施に至るまでの国際的な動向などについて、大学審議会の答申と自らの経験を交えながら語ります。