2009年11月3日火曜日

今、国会論戦がおもしろい

昨日(11月2日)、衆議院予算委員会を舞台に、鳩山内閣発足後初めての本格的な論戦の火ぶたが切られました。

国民が政権交代を選択し約1か月半、高い国民の支持率を基盤に、鳩山内閣は精力的に様々な政治課題に取り組んでいます。

これまで野党として国会に臨んできた民主党が支える政権は、これからは野党の追及に対応することになります。どのような答弁を展開していくのか大変興味があり、テレビ中継を録画して見てみました。

論戦の内容は、既に新聞等で詳細にわたり報道されていますので、今回は、鳩山総理や閣僚の皆さんの答弁ぶりを中心に目で見て感じたことをご紹介したいと思います。

まず、会議場である委員会室の風景としてこれまでと変わった点。
  1. 必要に応じ答弁を行っていた政府委員と呼ばれる役人や、答弁内容担当の役人の姿が消えた代わりに、各省庁の副大臣、政務官の席が議場側面に設けられ、各氏とも真剣な面持ちで質疑応答を聴きメモをとっていました。中には求められ答弁を行った政務官もいました。”政治主導”の実践でしょうか。

  2. 民主党委員席の後ろの壁際には、おそらく1年生議員だと思われますが、大勢の議員が肩を寄せ合って窮屈そうに列席(一部立ち見)していました。委員会現場での”実習”だったのでしょうか。であれば新人としての積極的な姿勢が評価されます。
次に、鳩山総理をはじめとする閣僚の答弁について。
  1. 政治主導と豪語しているだけあって、誰一人として、役人が作成した答弁メモを持たず、自分の言葉でわかりやすく答えていました。当然ながら以前のように役人が”耳打ち”する姿もありません。話しぶりも、野党(自民党)議員の挑発にも乗らず、常に冷静かつ謙虚でした。

  2. 質問に対して、複数の大臣が発言を求めて挙手を行うなど、国民への説明を積極的に果たそうという姿勢が見受けられました。

このように、鳩山内閣の国会対応は、これまでの自民党政権下における対応とは全く様変わりし、その真摯な姿勢にテレビをご覧になった多くの国民の皆様は、民主党に対する更なる希望と期待を感じたのではないかと思います。今後は、質問者も含め、”政治家の質”がためされます。それを評価するのは私達国民です。

それにしても、前自民党政権が残した、借金問題、沖縄問題、年金問題など多くの課題の解決に向け、今や、民主党政権が必死になって取り組んでいるという矛盾した現実や、そのことを下野した自民党が平然と説教がましく批判しているという構図は、民主党自身やるせない思いでしょうし、国民から見ても同様に感じます。

願わくば、政権経験者としての自民党は、国会の場で、もっと国民目線の超党的議論ができないものかと思うのですが、いかがでしょうか。


(関連記事)

鳩山由紀夫の「ゆう&あい」 新しい国づくり(2009年11月2日 鳩山内閣メールマガジン第4号)

新しい政権の新しい国会がスタートしました。
10月26日に始まった第173臨時国会は、政権交代をしてから初めての国会です。冒頭の所信表明演説、それに続く各党からの代表質問への答弁は、私たち政治家自身が考え、できるだけわかりやすい言葉で、国民のみなさまに向けたメッセージでありお答えとなるよう、努めてまいりました。
私自身はもちろんですが、各大臣も、いかに国民のみなさまに伝わる答弁となるかを考える中で、国民のみなさま方の思いとひとつになるということが大事であると思ってきたからです。
前政権がそうであったように、有能な官僚たちに作ってもらった原稿を読むだけなら、誰が首相でも大臣でも、本会議をこなすことは可能です。私も、外交日程が続いていた中で、新しい政権が発足して初めての、一番大事な所信表明演説を練り上げることは、正直、体力的にきついと感じることもありました。
しかし、そこで思い浮かべたのは、私たちに期待をし、これからの日本の将来への望みを託して一票を投じてくださった国民のみなさま方の姿です。
私がこの政権で何をしたいのか、どんな国づくりをしたいのか、なんとしてでもその決意を、自分の言葉で述べなければならないと思ったのです。各大臣も同じ思いでいてくれたものと思っています。そして、私たちの内閣が、そのような国会運営を行っていくことが、政治主導の一つでもあると思っています。
さて、その「国づくり」-私が目指す国は、一人ひとりの能力を生かしながら、人と人とが支え合う、「自立と共生」の友愛社会です。それは、政治と国民、官と民間、国と地方、それぞれの関係にも当てはまります。一人ひとりの、個々の企業の、またそれぞれの地域の力が十分に発揮されるために、それを阻む法律や規制、悪しき慣習は改めていかなければなりません。
敗戦の荒廃の中で力を失った国民や地域が、まずは「国主導」で再建にあたったことは、その時代には当然のことであったと思います。しかし、それから60年以上が経ち、日本も大きく変わりました。「誰かがやってくれるだろう」という他人依存から脱し、一人ひとりが何をできるのかを考え、国民のみなさま方にも大いに力を発揮していただきたいのです。
そのために、私が大事にしたいのは「弱い立場の人々、少数の人々の視点を尊重する」という友愛政治の原点です。本当に助けが必要な人やところには、社会がきちんと手を差し伸べる。政治の役割は、その枠組み作りをすることだと思っています。
私たちの新しい政権による国会は、すべてがチャレンジです。しかし、私たちが常に国民のみなさまの方を向き、国民のみなさまのための国会を行い、「政治が変わったな」「何か日本も変わりそうだ」と実感していただけるよう、全閣僚、全議員をあげ、精一杯努力してまいります。国民のみなさまにも、大いに政治に参加をしていただき、そして新しい「私たちの日本」を、共に作っていこうではありませんか。


「最初はかなり緊張」=衆院予算委で鳩山首相(2009年11月2日 時事通信)

鳩山由紀夫首相は2日夕、就任後初めて臨んだ衆院予算委員会での論戦について「最初のうちはかなり緊張した。しかし、(国民には)国会が少しずつ変わってきていると理解いただけたのではないか」と振り返り、「これからもっと慣れてくれば、さらに活発な論戦ができるのではないか」と語った。首相官邸で記者団の質問に答えた。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009110200890&m=rss


質問取りでもさや当て ねじれ国会の意趣返し?(2009年11月2日 産経新聞)

2日の衆院予算委員会で、自民党は事前の「質問通告」を拒否した。与党時代に民主党に苦しめられた意趣返しのようだが、政府側は官房副長官まで質問内容を事前に教えてもらう「質問取り」に奔走。低レベルの「政治主導」が繰り広げられた。・・・
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091102/plc0911022353016-n1.htm


衆院予算委、攻守逆転で自民「ネチネチトリオ」炸裂(2009年11月2日 産経新聞)

鳩山由紀夫内閣発足後初の衆院予算委員会が2日、開かれ、本格的な国会論戦が始まった。野党・自民党は大島理森幹事長、町村信孝元官房長官、加藤紘一元幹事長と重鎮3人が次々に質問に立ち、現政権の経済・外交政策などを執拗(しつよう)に追及した。首相は「守りの答弁」に徹したが、攻守が逆転した国会審議の厳しさを痛感したのか、硬い表情を最後まで崩さなかった。・・・
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091103/plc0911030001000-n1.htm


社説:衆院予算委 異彩を放った加藤質問(2009年11月3日 毎日新聞)

鳩山政権発足後、初の衆院予算委員会が2日始まった。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題など喫緊の課題が論戦の中心となる中で、異彩を放ったのは「この国は何を目指すのか」をテーマにした加藤紘一・元自民党幹事長の質問だった。鳩山政権への追及が甘いとの指摘は当然出るだろうが、政治家同士が理念を語り合うという試みは評価したい。・・・
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20091103ddm005070096000c.html