2010年7月31日土曜日

遠のく普天間移設

社説:沖縄の基地負担 軽減に一歩踏み出せ (2010年7月31日 毎日新聞)

沖縄の米軍基地負担軽減の道筋がますます不透明になっている。普天間飛行場移設の展望が開けないのに加えて、在沖海兵隊のグアム移転が計画より遅れる可能性が出てきたからだ。福岡高裁那覇支部は「普天間爆音訴訟」判決で「(周辺)住民の恐怖は現実的なもの」と、普天間の危険性に言及した。参院選敗北で求心力低下が著しい菅内閣だが、負担軽減は菅直人首相の繰り返しの約束である。その一歩を踏み出すべきだ。

日米両政府は5月末の合意で、普天間飛行場を沖縄県名護市辺野古に移設し、工法や具体的位置などの専門家による検討を8月末までに完了するとした。その後、両政府の外務・防衛担当閣僚で確認し、11月の日米首脳会談に臨む方針だった。

ところが、日本政府は辺野古移設に反発する沖縄側に配慮し、専門家の検討では滑走路の位置などを絞り込まず複数案とするほか、政治決定は11月末の沖縄知事選以降に先送りする方針とされる。

一方、海兵隊のグアム移転問題は、移転に伴う基地拡張と人口増加にインフラ整備が追いつかないという米側の事情だ。14年までに移転を完了するとした06年日米合意の履行は難しいという。普天間移設への影響が懸念されるほか、移転が遅れればグアムの整備費が膨らみ、日本側の負担分が増額される可能性もある。

普天間移設実現には沖縄の協力が不可欠であり、沖縄との信頼関係構築が前提となる。私たちは沖縄の信頼を取り戻すために、5月末の日米合意に盛られた負担軽減策を普天間移設に先行して実施することを検討するよう求めた。たとえば、日米合意にある訓練移転が進めば、普天間の危険性の軽減につながる。

が、政府は関係閣僚会議を開いたものの、沖縄との協議など具体的進展はまだない。工法などの先送りはやむを得ないが、それだけでは沖縄と信頼関係は築けない。

そして、新たに加わったのが、海兵隊のグアム移転が遅れる可能性である。これが現実になれば、沖縄の日米両政府への不信に拍車をかけることになり、信頼関係構築は遠のく。

展望が見えない普天間移設方針に、これと連動する海兵隊グアム移転の遅延が重なれば、普天間の使用継続が一層、現実味を増すことになる。普天間移設の原点である飛行場周辺住民の危険性と騒音など生活被害除去の先送りに他ならない。

11月の沖縄知事選では、普天間問題が最大の争点となるのは間違いない。選挙結果しだいでは、さらに困難な事態となる可能性がある。負担軽減こそが問題解決の近道であることを、菅政権は米側に説明し、理解を得るべきである。
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20100731ddm005070174000c.html







(関連記事)
沖縄海兵隊グアム移転、2014年断念 米が最終報告書 (2010年7月28日 朝日新聞)
沖縄海兵隊のグアム移転費6割減 米下院が予算案可決 (2010年7月29日 共同通信)
早急な対策、国に迫る=普天間訴訟 (2010年7月29日 時事通信)

2010年7月25日日曜日

大学教育は大事、されど予算は削減・・・

今週も、来年度予算の概算要求基準をめぐり、各省庁の予算を今年度より1割削減する方針への反対に関する記事が目立ちました。国立大学法人の教育研究を支える運営費交付金の一律削減についても、国立大学協会を中心に様々な反対活動が進められています。



また、国立大学財務・経営センター研究部からは、削減の影響に関する以下のようなレポートが急遽発せられていします。

政府交付金8%減額の影響-試算

政府は「財政運営戦略」(平成22年6月22日閣議決定)において、平成23年度からの3年間は「基礎的財政収支対象経費」については据え置きとした。社会保障費の伸びを勘案し、地方交付税、人件費等をすえおきとすれば、政策的経費は1兆円、比率として8%の減額となる。このまま適用されるとすれば、国立大学法人への交付金も8%の減額となることになる。

これを受けた大学としては、人件費の削減はきわめて困難であるから、実際にはこの影響は、人件費以外の教育研究への直接の支出にしわよせされることになるだろう。これは国立大学法人すべてにとってきわめて深刻な問題であるが、個々の大学の財務構造によって、その影響は大きく異なることが予想される。交付金の減額は、個々の大学の財務構造にどのような影響を与えるのだろうか。

そうした観点から、平成20年度の損益計算書をもとに、いくつかの指標を各大学および共同利用機関法人について算出して表1に示した。試算の方法、また交付金の減少率と、各種指標との数学的な関係については、附論に示した。・・・
http://www.zam.go.jp/pdf/00000392.pdf

2010年7月21日水曜日

いつまで続く国の人事介入

国立大学法人への文部科学省幹部職員の天下り・出向問題や、国立大学法人における人事への文部科学省の介入問題が、これまで、”行政刷新会議・事業仕分け”や、”熟議カケアイ”などで議論されてきたことをご存じの方は多いのではないかと思います。

行政刷新会議「事業仕分け」第3WG評価コメント
  • どんなに「大学側からの強い要請」があるとしても、天下り、現役出向は完全廃止しその分だけのコスト削減(=交付金削減)を行う。
  • 官僚出身者や出向者が効率的な経営を行うことは難しい。
  • 独立行政法人のままなら、文部科学省からの出向を禁止すべき。
  • 経営マネジメントのできる人材の登用を図るべき。ガバナビリティのある人材の登用による職員意識改革を徹底すること。など

必読! 熟議カケアイ:文科省からの出向人事の問題点 (2010年6月13日 大学サラリーマン日記)



去る6月28日(月曜日)に開催された国立大学協会第19回通常総会では、「理事の人事交流に関する当面の手続き」(国立大学法人と文部科学省との間で理事の人事交流を行う必要が生じた場合の調整の手続き)についての「了解事項」と「申合せ」が了承されました。具体的には以下のようなものです。

「理事」の人事交流に関する当面の手続きについて (国立大学協会と文部科学省との了解事項)

国立大学法人の学長は、幹部人事の必要が生じた場合、自らの人事戦略に基づき、例えば、内部からの登用、他法人との人事交流、文部科学省との人事交流、政府各省庁・地方自治体・私立大学・民間企業等からの採用や人事交流など、多様な選択肢の中から、自主的・自律的な判断により、必要な人事を行う。

その際の手続きは、各法人の裁量によるところであるが、文部科学省職員(文部科学省を経験し国立大学法人等の幹部職員となっている者を含む。)を人事交流により理事に採用する場合の各国立大学法人と文部科学省との間の調整の手続きについては、特に、透明性、公正性等を確保する必要がある。

このため、当面、国立大学協会に設置する適格性審査会において、各国立大学法人及び文部科学省から推薦された候補者の能力・経験・実績等を審査し、その結果に基づき理事候補者名簿を作成することとし、文部科学省は、当該名簿の中から理事候補者を各国立大学法人に推薦することとする。

国立大学協会に設置する適格性審査会の設置及び運営に関しては、国立大学協会が別に定める。


「学長自身の人事戦略」「多様な選択肢」「自主的・自律的な判断」「各法人の裁量」「透明性、公正性」といった美辞麗句が並ぶ素晴らしい文章です。しかし、上記の「了解事項」だけでは、具体的に今後どうなるのかさっぱりわかりません。

具体的な手続きについては、別途、以下のような国立大学協会としての「申合せ」に書かれてあります。

1 理事候補者の推薦依頼について
  1. 国立大学法人は、理事について人事の必要が生じ、候補者として文部科学省職員(文部科学省を経験し 国立大学法人等の幹部職員となった者を含む。)の推薦を依頼する場合には、学長から国立大学協会会長(以下「会長」という。)宛てに文書を提出する。

  2. 会長は、学長から提出のあった推薦依頼に関する文書を、国立大学協会に設置する適格性審査会(以下「審査会」という。)へ提供する。

  3. 審査会は、会長から提供のあった文書を基に、推薦依頼のあった法人名及び担当職務等を整理した一覧表を作成して会長へ提出し、会長は、文部科学省へ提供する。
2 理事候補者の推薦について
  1. 国立大学法人は、当該法人に国立大学法人(当該法人を含む。)の理事となり得る 候補者(文部科学省を経験し幹部職員となった者に限る。)がいる場合には、学長から会長宛てに文書により推薦する。

  2. 文部科学省は、上記「1」に関連して国立大学法人の理事となり得る候補者がいる場合には、会長宛てに文書により推薦する。
3 審査から採用予定者決定までの手順について
  1. 会長は、必要書類を付して、国立大学法人の理事候補者の適格性の審査等について、審査会*1に諮問する。

  2. 審査会は、国立大学法人及び文部科学省から推薦のあった理事候補者について、その能力・経験・実績等を審査の上、適格性があると判断した者について理事候補者名簿を作成し、会長へ答申する。

  3. 会長は、理事候補者名簿を文部科学省へ提供する。

  4. 文部科学省は、理事候補者推薦の依頼のあった国立大学法人に対して、大学の特徴、法人の求める職務分野、本人の希望勤務地等を勘案し、理事候補者名簿の中から、法人の求めに応じて1名以上の理事候補者を推薦する。その際、理事候補者の能力・経験・実績等が分かる資料を添付する。

  5. 理事候補者の推薦を受けた国立大学法人は、文部科学省と調整し、理事の採用予定者を決定する。

手続きの流れについては具体的ですが、例えば次のような点が未だ不明確です。
  • 学長が、国立大学協会に対し理事候補者の推薦を依頼するのは、「理事について人事の必要が生じた場合」とされていますが、それはいったいどういうタイミングを指すのでしょうか。例えば、文部科学省出身の着任間もない理事が適正に欠けるから、すぐにでも別の人にかえたいといった場合も含まれのでしょうか。この申合せの文言だけでは学長は判断に困るような気がします。

  • 国立大学協会に設置する適格性審査会が行う理事候補者の適格性審査に関する具体的事項が明らかにされていません。透明性、公正性を目的として新たな仕組みを導入するのであれば明確にし公表すべきと思われます。

「理事の選び方」に関する新たな制度を導入する上で、最も大切なことは、”いかに文部科学省による国立大学法人への人事介入を無くすか”ということに尽きるのではないかと思います。その点に関し、今回の新たな仕組みでは、結局最後は、文部科学省から理事候補者の推薦を受ける形になっていること、また、推薦を受けた国立大学法人は文部科学省と調整することになっており、実質的にはこれまでと同様、文部科学省主導により国立大学法人の理事人事が進められることになります。

学長の集まりである国立大学協会自身が、上記のようなあいまいな「了解事項」や「申合せ」による制度を決めたことは、法人化によって勝ち得た学長の人事権を自ら放棄しているようなものです。自主的・自立的な大学経営を達成するために必要とされるリーダーシップの根幹である人事権を、文部科学省とのあいまいな合意によって消してしまうようなことになってはなりません。熟考が求められます。

*1:適格性審査会規則(案)によれば、審査会は、国立大学長経験者、国立大学法人理事経験退職者、国立大学協会関係者それぞれ若干名で構成され、必要に応じ、学識経験者を加えることができることになっています。

2010年7月20日火曜日

人生を意義深いものにする

意義深い人生を送るうえで役立つ三つの考え方を紹介しよう。

  1. 自分の才能を他の人たちのために役立てる。人生の目的のひとつは、自分に与えられた独自の才能を発見し、それを他の人たちのために役立てることだ。職業に貴賎はない。脳外科医であれ、弁護士であれ、靴磨きであれ、ビルの清掃係であれ、他の人たちに奉仕することに関しては同等だ。どのような仕事をするにしても、心をこめて打ち込もう。

  2. 人々に愛と親切を伝える。つまるところ、私たちがこの地球上に存在するのは、愛の大切さを学び、できるだけひんぱんに愛を伝えるためである。人を批判して満足を得ようとしてはいけない。それは建設的ではない。私たちは人を愛するときに大きな満足を感じることができる。 ブーメランの法則を思い出そう。愛と親切を伝えれば、愛と親切があなたのもとに返ってくるのだ。

  3. 自分に正直になる。世間はあなたが大勢の人と同じようになることを求める。実際、ほとんどの人がその圧力に屈する。彼らは周囲の人と同じことをし、メディアのつくり出すトレンドに踊らされる。しかし、他人に決めてもらった人生を送っても、幸せになることはできない。周囲の人が賛成してくれなくても、自分の気持ちに正直になる勇気を持つことが大切だ。


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2010年7月17日土曜日

大学の戦略的中長期計画とは

去る7月12日(月曜日)の午後、一橋記念講堂(東京都千代田区)において、「第3回東大-野村大学経営フォーラム 大学の中長期計画を考える -コア・バリューの強化に向けて-」と題するセミナーが開催されました。

このセミナーは、「大学における財務基盤の強化」をテーマとした東京大学(研究者)と野村証券(実務家)が取り組む我が国初の共同研究の成果を報告するもので、今回が3回目となります。

セミナーのプログラムはこちらです。

第3回東大-野村大学経営フォーラム「大学の中長期計画を考える」




第二部のパネルディスカッションでは、中長期計画の経営・財務戦略とのリンクについてのフリーディスカッションが行われました。印象に残った主なコメントをご紹介します。
  • これまでは、一体性、財政の保証がない(財務戦略の裏づけがない)中長期計画が存在。中長期計画の策定に当たっては、将来(10年後)の財務構造をどう考えるのかを見極める必要。
  • 大学の役職員は、財務状況の理解が不足。財政のわかる人材を養成する必要。財務がわからないと経営はできない。
  • 中長期計画の中で財政とともに重要なのが、どのような教育を施すか。これまではそれぞれがバラバラ。統合された計画づくりが必要。
  • 大学以外の人の意見をどうやって中長期計画に取り入れるか。会話が重要であり、OBであればホームページや広報誌を通じ、学生であれば学長が直接懇談するなど。
  • 大多数の冷ややかな教職員への対応をどうするか。全員が同じ方向を向いていない。全学的コンセンサス、合意形成をどうするか。時間がかかるがあきらめない。繰り返し説明し理解してもらうしかない。そのためには、情報や危機感の共有が重要。
  • 意思決定にスピード感が求められる中、合意形成に時間がかかる。この二律背反をどのように乗り越えていくか。
  • IR(インスティテューショナル・リサーチ)が重要。多くの教職員は大学の状況を知らされていないのが現状。これでは理解は困難。実態をデータ、グラフで示す必要。ただし、情報が多すぎるので限定的に流すこと。
  • 授業料の割引(値下げ)をしても効果は薄い。教育の内容、質の向上が無い限り学生は入ってこない。

(参考資料)東大-野村 大学経営ディスカッションペーパー No.12 大学の戦略的計画(1)

2010年7月8日木曜日

国立大学法人の破綻へのシナリオ

来年度予算の概算要求に絡んで、ぎょっとするようなニュースが飛び込んできました。

国から国立大学法人に毎年配分されている「運営費交付金」が大幅に削減され、その額は、なんと大阪大学と九州大学が消滅する規模に達するほどの額になるそうです。実現すれば、授業料の値上げなどいろんな悪影響が心配される状況になります。

まずは、報道です。

文科省SOS 運営費交付金など削減なら「阪大・九大消滅も」 (2010年7月8日 産経新聞)

参院選後に始まる平成23年度予算の概算要求で、文部科学省が大学の日常的な教育研究を支える「国立大学法人運営費交付金」などについて削減対象から外すよう要求していく方針を固めたことが7日、分った。菅内閣が6月に閣議決定した「財政運営戦略」に基づき、省内で試算した結果、同交付金の削減額は約927億円。これを実行した場合、大学破綻(はたん)によるわが国の知的基盤の喪失や研究機能の停止といった深刻な結果を招く危険性が高いことから、文科省は「削減は到底困難」としている。

6月22日に閣議決定された「財政運営戦略」の「中期財政フレーム」では23年度から3年間「基礎的財政収支対象経費」は前年度を上回らない方針が示された。文科省では年額1兆3千億円で伸びる社会保障関係経費を踏まえると、その他の一般歳出は年率8%の削減を余儀なくされると試算。これを機械的に国立大学法人運営費交付金にあてはめた場合、削減額は約927億円に上る。22年度までの7年間で達成した同交付金の削減額830億円を上回る法外な額だ。

文科省の試算によると、仮に削減のしわ寄せを授業料でまかなう場合、学生1人あたり年23万円の値上げとなる。研究経費を削って捻出(ねんしゆつ)する場合は、現状の32%減(約1954億円)となり「大学の研究機能が停止する」と指摘。さらに特定大学の交付停止で対応すれば、「大阪大学と九州大学の2大学を消滅させるか、地方大学や小規模大学27大学をなくさざるを得ない規模」で、わが国の知的基盤の喪失を招くと憂慮している。このため文科省では大学の“生命線”となる「国立大学法人運営費交付金」と「私立大学等経常費補助」を予算編成で削減対象から除外するよう求める。

民主党は昨年の衆院選前に策定した「民主党政策集INDEX2009」で「自公政権が削減し続けてきた国立大学法人に対する運営費交付金の削減方針を見直します」と明記したが、政権発足後、財源の見通しが不十分なまま、子ども手当や高校無償化に踏み切り、多くの既存予算がしわ寄せを受けている。
http://sankei.jp.msn.com/life/education/100708/edc1007080105000-n1.htm


この記事は、文部科学省や国立大学協会があらかじめ用意した資料に基づいて書かれてあります。同様の資料は既に国立大学協会から、各国立大学法人にも送付されています。資料のうち、記事に関連した部分についてご紹介します。

「中期財政フレー ム」(平成22年6月22日閣議決定)では、平成23年度からの3年間は「基礎的財政収支対象経費」について前年度を上回らないこととされ、社会保障関係経費の伸び(年額1.3兆円)を勘案すれば、その他の一般歳出は年率▲8%の減となる。

国立大学法人運営費交付金に機械的に適用した場合、その削減額は約927億円(平成22年度予算額1,158,514,767千円 × ▲8% = 約927億円)

⇒ 国立大学法人運営費交付金の従来以上の削減は、これまでの民主党の主張と著しく異なる

【民主党政策集 INDEX2009】

自公政権が削減し続けてきた国公立大学法人に対する運営費交付金の削減方針を見直します。

【国立大学法人法案 参議院 附帯決議】

法人化前の公費投入額を踏まえ、従来以上に各国立大学における教育研究が確実に実施されるに必要な所要額を確保するよう努めること。
⇒ 小泉政権下ですら、科振費相当として削減対象外になった平成17年度予算編成を踏まえ、それ以上の対応が不可欠。



927億円の削減とは・・・

仮に教育経費の削減で対応すると・・・
⇒ 国立大学法人の教育経費 約1,624億円(平成21年度決算額)
⇒ 約697億円(▲57%減)となり、人材養成機能が崩壊

仮に研究経費の削減で対応すると・・・
⇒ 国立大学法人の研究経費 約2,881億円(平成21年度決算額)
⇒ 約1,954億円(▲32%減)となり、研究機能が停止

仮に学部学生の授業料値上げで対応すると・・・
⇒ 学生1人当たり約23万円の値上げ
⇒ 約77万円(43%増)となり、教育費負担軽減の流れに逆行

仮に特定大学への交付停止で対応すると・・・⇒ 大阪大学と九州大学の2大学が消滅*1または地方大学や小規模大学27大学が消滅*2
⇒ 我が国の知的基盤の喪失

詳細な資料は、こちらをご覧ください。

8%の概算要求シーリング阻止のために国大協が行動開始 (東京大学職員組合)

来年度予算の概算要求基準は、早ければ7月23日(金)の閣議で決定されるとの情報もありますが、今後、国立大学協会などは、例年以上に国会議員や首長さん方への予算確保のための陳情に力を入れていくことになります。

(関連ブログ)運営交付金年率8%減!? (2010年7月8日 発声練習)


*1:大阪大学と九州大学の2大学分(930億円)に相当

*2:地方大学及び小規模大学27大学(愛知教育、東京芸術、名古屋工業、お茶ノ水女子、京都工芸繊維、和歌山、京都教育、長岡技術科学、豊橋技術科学、兵庫 教育、奈良女子、福岡教育、鳴門教育、福島、東京外国語、滋賀、上越教育、室蘭工業、宮城教育、筑波技術、帯広畜産、奈良教育、北見工業、政策研究大学 院、総合研究大学院、鹿屋体育、小樽商科)分(917億円)に相当

2010年7月6日火曜日

運を引き寄せる

「運」は誤解されがちな概念である。成功者は運がいいように見えるが、実際はポジティブな心の持ち方と粘り強さによって、自分の手で運をつくり出しているのだ。

オリンピック選手について考えてみよう。彼らは運がいいから成功したのではな い。毎日、何時間も厳しいトレーニングを積んで、やっと非凡なレベルに到達したのだ。家でぼうっとして幸運が訪れるのを待っていたわけではない。 同じことが優良企業についてもあてはまる。トヨタ自動車は運がいいから販売が伸びたのではない。全従業員が一致団結して努力し、卓越した製品をつくるというビジョンを持ち、業績を伸ばせるという確信を持ち、計画を立てて目標を達成できるまで粘り強く改善を重ねたからだ。

運がよくて成功したように見える人がいるというのは事実である。彼らはタイミングよくいい場所にいるように見える。しかし、彼らは「自分は必ず成功する」という前向きな姿勢を常に持っていたからこそ、チャンスを引き寄せたのだ。ネガティブな人は「どうせダメに決まっている」「やってもムダだ」と思い込んでいるから、チャンスが訪れているにもかかわらずそれを逃してしまうのである。ネガティブな人は、運のよしあしを言い訳に使っている。彼らは努力せず、自分の失敗を直視するのを嫌うあまり、「他の人たちが成功したのは運がいいからだ」と考える。

トーマス・ジェファソン(米国第三代大統領)は言っている。
「私は努力すればするほど運がよくなることを発見した」
これはたいへんいいアドバイスだ。


ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2006-06-15

2010年7月5日月曜日

放送大学を活用した職能開発

大学職員の職能開発には様々な方法がありますが、近時、アドミニストレータ養成のためのコースを設置する大学・大学院も見受けられるようになりました。しかし、通学できる恵まれた環境にある大学職員は残念ながらごくわずかです。そこで、テレビ・ラジオを利用した通信制の「放送大学」の活用は、有効な職能開発方法の一つとして今後益々重要になるのではないかと思います。

国立大学法人では、法人化以前から、大学が行う組織的研修の一つとして放送大学の受講を位置付けてきました。しかし、どちらかと言えば、語学など教養的な科目に限定され、効果の検証も行われず、税金の使い方としてはやや問題ありといった状況でした。

放送大学を各大学のSD活動に活用することの重要性の高まりが影響したのかどうかはわかりませんが、最近では、大学職員の職務に関係の深い授業科目が増えてきており、多くの国立大学法人では、入学料や授業料を大学が負担し、大学職員のスキル向上に向けた積極的な取り組みが進められてきています。

放送大学では現在、平成22年度2学期(10月入学)の出願募集を行っています。そこで、大学職員の業務に関係しそうな授業科目を少し広めに拾ってみました(順不同)。参考にしていただければ幸いです。

教養学部

問題発見と解決の技法(’08)

私たちは職場だけでなく、地域や個人の生活においてもさまざまな問題に直面し、何とか解決方法を見つけようと悩んでいる。問題解決の仕方に方法があるのであろうか。ここでは問題とは何かから始まり、問題の見つけ方、解決の手順、解決に必要な情報をどのように収集・整理し分析するのか、解決に必要な考え方とは何かなど一連の過程を通して解決策を見いだしていく科学的技法を学ぶ。また、その過程で思考や発想などを目的に沿って他人に伝え、理解してもらうための基本的な技術を習得する。そして、ここでの学習が 実際に応用できることをねらいとして、さまざまな分野から問題解決の具体的な事例を集めて紹介する。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/kiso/s_1120409.html


経営学入門(’07)

経営学入門として、経営学で明らかにしようとしている基本的な課題について解説する。企業はヒト・モノ・カネ・情報から成り立っている。従って、これらの経営要素を組み合わせる仕組みとしての株式会社制度や組織、もの作りの仕組みとしての生産システム、ヒトを動かす仕組みとしての人事労務管理、カネの動きを統制する財務管理、社会における企業の新しい役割などを企業経営の視点から学習することを目指している。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/ippan_syakai/s_1124307.html


マーケティング論(’08)

今日のビジネス活動を考える上で、マーケティングは欠くことの出来ないものとなっている。マーケティングの考え方やフレームワークは、営利企業だけではなく、大学、病院、自治体など、非営利組織においても注目を集めている。その一方、マーケティングを断片的に捉えたり、誤って理解している人々も少なくない。この講義では、マーケティングの基本的な概念から、実際のビジネス・ケースまでを体系的に解説し、マーケティングの全体像を明らかにしていく。また、必要に応じて実務家を招き、実際のビジネスにおけるマーケティングについて語ってもらう。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/syakai/s_1540807.html


管理会計(’10)

管理会計の目的は、企業で行われる様々な経営意思決定と業績管理に有効な会計情報を提供することにある。本講義では管理会計の役割を意思決定を支援する役割と業績を測定・評価して企業価値を高める行動を動機づけるコントロールの役割に分けて、それぞれの理論を解説する。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/syakai/s_1541110.html


初級簿記(’10)

簿記はおよそ500年前から存在し、「ビジネスの言語」ともいわれ、今日の企業社会においても欠かせないものとなっている。本講義では、商業簿記に関する知識・技術の網羅的な習得を目標としている。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/syakai/s_1540726.html


官民の人的資源論(’09)

日本の経済は、民間部門と公的部門に大きく分類される。それぞれの部門で働く人々の雇用管理がどのようになされているかは大きな関心事であると考えられる。しかしながら、一般的な人的資源管理論は民間部門を対象に解説されてきた。そこで、この授業では公的部門の人的資源管理が付け加えられている。さらに、日本の人材育成に関する行政の役割にも言及する。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/syakai/s_1542605.html


NPOマネジメント(’07)

今日、今までにない速度で社会が変化し、明治近代国家誕生後に形成された既存のシステムでは対処できない様々な問題が生まれている。なかでも政府・自治体がこの変化に対応できず、公的サービスの提供に限界が見え、担い手の多様化が強く求められている。こうした中で地域社会における福祉施設の経営等のサービス供給、まちづくりや環境保全、国際協力等を進める民間非営利組織(NPO:Non-Profit Organization)の活動が活発に展開されてきている。こうした背景と組織経営の実態及び課題を理解する。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/syakai/s_1543407.html


組織運営と内部監査(’09)

組織運営の成否を決めるのは内部監査の成否であると言っても過言ではない。本講義では、組織の外にいてはなかなか実感する機会がない内部監査について、その目的や手続きの実際について多面的に検討することによって、内部監査の重要性を理解することを目的とする。また、すでに組織運営に携わっている人には、内部監査についての再整理と新たなる知見を与えるものと期待される。なお、本科目は、(社)日本内部監査協会から支援を受けています。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/syakai/s_1543113.html


社会と知的財産(’08)

21世紀の情報社会(知識社会)における「知的財産」の意味を考え、工業社会とは異なる各産業や経営モデルにおける「知的財産」の現状と課題を概観する。また「創造」「保護」「活用」からなる知的創造サイクルを早く・大きく・強く回すための知財マネジメントのポイントを理解する。ただし、ここでいう知的財産とは、特許権、実用新案権、意匠権、商標権などの 「産業財産権」を中心とするが、著作権、育成者権、不正競争防止法に基づく権利なども含む(著作権法については別科目を参照されたい)。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/ippan_syakai/s_1542303.html


身近な統計(’07)

高度情報化社会が謳われる中で、私たちの身の回りにはテレビや新聞・雑誌・インターネット等を通して多種多様な統計情報があふれています。本講義では、統計の基本的な考え方、データの統計的活用の理論と方法を解説するだけではなく、諸種の統計情報が企業や行政の意思決定および社会・経済・自然現象の解明に具体的に活用されている事例を(VTR映像で)紹介します。また、更に具体的な理解を深めるため、身近なデータの表計算ソフトを使った簡単な分析方法も説明します。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/kiso/s_1132903.html


経済学入門(’08)

経済学は生まれて230年の比較的若い学問です が、一方で社会科学の女王と呼ばれるほどの論理的厳密性を追究すると同時に、他方で実社会の問題解決という要請に応えようとしてきました。この講義では現 代経済学の基本的な考え方と、その応用の仕方について考えてみましょう。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/ippan_syakai/s_1120700.html


社会調査(’09)

現代社会を特徴づける人間活動の1つである社会調査について、その進め方(調査内容の決定、調査対象の決定、調査の実施方法、調査結果の分析方法とまとめ方)を知るとともに、その歴史と成果について学習する。個人が身の回りからさまざまな情報を得る場合と社会調査との違いに着目しながら、細かい技法よりも、基本的な考え方を修得することを目指す。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/ippan_syakai/s_1121200.html


社会統計学(’07)

社会調査や実験から得られたデータをもとに、統計的分析を行なうための基礎を学ぶ。その際、因果推論の方法、すなわちクロス表分析、検定、分散分析(F検定)および回帰分析による仮説検定を中心に講義をすすめる。そして、初等統計学の基礎知識に関する理解を十分深めた上で、実践的な分析技法にすすむ。また、講義のなかでは、実際の分析例を数多く紹介し、受講者には単に講義を聞くだけでなく、例題や練習問題を解くことを課す。したがって、受講に際して、とくに3回目以降は、電卓(平方根を開く機能とメモリー機能のあるもの)および筆記具を用意すること。

http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/ippan_syakai/s_1124102.html


情報科学の基礎(’07)

身近な情報機器であるパーソナルコンピュータの動き方や実際の仕組みを導入として、情報機器を実際に実現しているのは手順を記述するプログラムであること、実際のプログラムの概略、及びその動作能力の源泉である数学的万能性を、平易な例を用いて解説する。さらに、現実的なコンピュータ処理の複雑さとそれを実現するプログラムの大きさを理解することによっ て、現代の情報システムの全体像とその限界を示す。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/ippan_shizen/s_1231502.html


現代経済学(’09)

私達の欲望に限りはないが、資源には限りがある。その限られた資源を様々な欲望を充足するために配分しなければならないが、私達は市場経済という経済体制を用いることで、それを無意識のうちに行っている。市場経済とは多くのお金を支払う人が多くを購入できるという経済システムであり、ミクロ経済学とマクロ経済学という2つの分析手法を用いて、市場経済の果たす資源配分について考えていく。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/syakai/s_1531603.html


統計学(’09)

現在社会においては、情報通信技術や測定技術の進展によって、大量のデータが収集され、蓄積されています。この蓄積されたデータの中にはさまざまなバラツキが含まれており、バラツキを持ったデータの中から本質的な特徴を把握する能力が、現在を生きる私たちには必要とされています。本講義では、確率的なモデルの基本的な特徴を解説し、それを利用した基本的な統計手法を紹介します。また、複雑な現象を把握するために必要となる、回帰分析を中心とした統計手法についても説明していきます。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/shizen/s_1861905.html


情報ネットワークとセキュリティ(’10)

IT技術を支える情報通信技術に関する基本的な事柄について説明する。またこうした技術を安心して利用できるために必要なセキュリティ技術および情報リテラシーについて述べる。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/ningen/s_1551515.html


政治学入門(’07)

「政治」を理解するうえで不可欠の、基本的な政治学的概念や理論について紹介することにしたい。特に、政治における重要なテーマである「民主主義」を軸にしながら、政治思想における重要な概念や民主政治を支える様々な制度、マスメディアや利益団体といった中間集団、選挙制度と投票参加・投票行動について説明していきたい。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/ippan_syakai/s_1123807.html


著作権法概論(’10)

情報社会あるいは知識基盤社会と呼ばれる今日において、知的財産の創造を促進し、その有効かつ適切な活用を図る上で、知的財産権に関する法制度が重要な役割を果たす。知的財産権制度の中にあって、小説や音楽、レコード、映画、アニメ、プログラムなどの著作物等を保護する著作権法は、特定の職業に携わる方々のみならず、全ての人々にかかわる法律であり、 この講義では、著作権制度の基本的な事項及び実際的な課題について総合的に学習を進めていく。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/syakai/s_1590804.html


心理カウンセリング序説(’09)

臨床心理学における「カウンセリング」について、もっとも基本的なことを検討する。現在の日本においては、カウンセリングという言葉は、「受容的に話を聞くこと」とか、ほとんど「ガイダンス」とか、 「オリエンテーション」と言った意味で使われることも稀ではない。本講では、臨床心理学的な問題や症状を抱えた方々、すなわち、クライアントが自らの問題や 課題と取りくむためにセラピスト(=カウンセラー)の許を訪ねて開始される心理療法という意味での「心理カウンセリング」について系統的に学習する。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/sinri/s_1522310.html


社会学入門(’10)

社会学の基礎的な概念と社会の基礎となる集団の特質についての理解を深めること、また、現代社会が直面する変動の諸相について正確な知識と理解を得ること、このことを目的として全15回にわたり講義を実施する。人間は、その成長に伴って、自己の属する集団を徐々に拡大させてゆくが、前半ではできるだけこの過程に即した説明をおこなう。後半では、日本の社会の変動に焦点を当て、また、社会学の中で重要な位置を占める社会調査についても講義する。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/ippan_syakai/s_1122312.html


財政学(’10)

国・地方を合わせた借金の残高が2009年度末 には800兆円(GDPの1.6倍)を超えるなど財政再建が急務の課題になっている。一方、高齢化に伴い、今後社会保障給付費(年金、医療、介護等)が増加していくも のと懸念されている。格差の拡大から、福祉の拡充など再分配への要請も高まっている。さらに地域経済の低迷により財政難に陥った地方自治体も数多い。我が国の財政(国・地方)は現在、将来に渡って困難な課題が山積しているのである。財政は全ての国民にとって身近な問題である。医療や年金に限らず、日常、享受している地方公共サービス(ゴミの収集、衛生管理、公園や道路の整備)、あるいは国防や治安も、国や地方といった公共部門によって提供されている。また、社会保障の財源として消費税の増税や社会保険料の引上げなど、国民の負担増を求める改革が議論されている。この講義では経済学の視点から財政の理論を学ぶとともに、財政(公共部門)に関わる諸問題(税制改革、社会保障など)について考えていきたい。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/syakai/s_1531719.html


日本国憲法(’05)

比較憲法史や憲法の一般理論などの成果を踏まえつつ(1~3)、現行の日本国憲法が定めている統治構造(4~9)と権利保障(10~15)について、主要な論点を取り上げながら検討を加えることを通して、憲法に対する理解をより深めることができるよう努めたい。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/ippan_syakai/s_1127810.html


市民生活の財産法(’06)

民法は、私人間の関係について規律する基本的な法である。民法全5編は、財産に関する総則、物権、債権の3編と家族に関する親族、相続の2編とに大別できる。本講義は、このうち、財産法について概観するものである。限られた時間で、民法の条文のすべてについて、詳細に説明することはできないので、重要な制度・仕組みを紹介するにとどまらざるを得ないが、民法以外の特別法についても、可能な限り、言及する。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/syakai/s_1831020.html


行政法と市民(’06)

行政法(総論)の入門講義を行う。行政法は、行政組織法・行政作用法・行政救済法から成るが、後二者に重点をおいて、全体を概観する。特に、行政(役所とその仕事)抜きでは生活できないが、受動的な行政「客体」にとどまるわけではない私たち「市民」の目を大事にしたい。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/syakai/s_1830228.html


現代行政分析(’08)

日本の行政に仕組みを概観すると同時に、それがどのように作動しているかを経験的な分析に基づいて明らかにする。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/syakai/s_1531000.html


現代日本の政治(’07)

現代日本の政治を理解するために、選挙制度や、政党、議会、官僚制など日本の政治制度と政治アクターについて説明を行った上で、それらの制度や政治アクターが、実際の政策過程においてどのような働きをし、どのような形で日本政治の特徴を形づくってきたのかを説明します。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/syakai/s_1538705.html


基礎教育学(’07)

日本の教育は、今、「危機」に瀕していると言われ、様々な改革が実施されている。しかし、その改革は時代や社会の変化に適切に対応するとともに、教育の本質に適ったものであろうか。転換期にある日本の教育改革の現状を検証し、そのゆくえを探るために、グローバル化・IT化・知識社会化が進むなかで、教育の「基礎・基本」をどう捉え、子どもと家庭や学校(大学を含む)、社会などをめぐる諸問題をどう解決するべきかについて多角的に考察する。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/ippan_jinbun/s_1111604.html


生涯学習と自己実現(’06)

生涯学習社会への移行が叫ばれる今日、生涯学習は、私たちをどこへ導いてくれるのだろうか。本講では、人間の自己実現というひとつの方向目標を手がかりとして、発達論と学習論を軸に、生涯学習をめぐる 問題を考えていきたい。あわせて、生涯学習社会がかかえる今日の社会的な問題をもともに考えていきたい。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/sinri/s_1510703.html


地域教育の創造と展開(’08)

学校・家庭・地域の連携・協力・融合が今日的な課題になっている。本科目では、学校教育、社会教育そして家庭教育が地域社会のなかでどのような形で実践されているかについて「地域教育」という新たな概念を用いて考察する。地域社会が急激に変動するなかで、さまざまな「教育問題」が多発化している。学校や家庭だけでは解決できない多様かつ深刻な問題の解決を探るために、今、「地域の教育力」が求められている。専門科目として、教育学、教育社会学の理論を学ぶとともに全国各地の実践事例を詳細に検討しつつ、 その解決の糸口を探りたい。学校の教員、教育行政担当者、PTAをはじめ地域の教育関係者の「生の話」を通してさまざまな教育問題の解決に向けての課題を展望する。放送メディア(ラジオ)の特性を生かして、受講者が自らの経験的実践を踏まえて、その経験的実践と教材を対比しつつ考え、地域住民としての生活実態・教育ニーズに即した形での実践的学習を深めてくれることを期待している。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/sinri/s_1520601.html


学校教育論(’08)

わが国ではこれまでになかったほど学校教育に注目が集まっている。特に、これまで看過されてきた学校内部の問題、たとえば、カリキュラム(学習内容)、学校・学級での生活や人間関係、そして学校改革の可能性などへの関心は高い。この科目では、学校社会学、学校心理学、及び学校経営学を専門とする立場から、学校教育をその基礎から理解し、現下の問題の本質と背景、発生のメカニズムを把握した上で、今後を実践的に展望する。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/ippan_jinbun/s_1110608.html


教育社会学(’07)

人は生まれながらにして人間であるわけではない。家族という基礎的な小集団の中に生まれ、親密な人間関係を通じて自我の基礎を形成し、やがて一般化された人間関係が縦横に展開する社会集団との接触を通してその社会の文化と規範を身に付けることにより、一個の自律的な人間となるのである。その意味で人間はすぐれて社会的な存在であるといえる。本講義では、人々が生まれ、育ち、学び、働き、さらに自らの子ども達を育て、自己を実現していくというプロセスを縦糸とし、人々がそのプロセスの各段階で関わっていくさまざまな教育の在りようを横糸として、社会的な営みとしての教育の意味と本質を解き明かす。あわせて最近の教育状況とそれを巡る環境の変化および今後の課題や展望についても検討する。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/sinri/s_1524909.html


現代の教育改革と教育行政(’10)

現在進行している教育改革を、主に、教育行政の法制度やその運営の観点から考える授業科目である。教育行政とは、国や自治体の公権力による教育経営であり、教育行政学はそうした公権力の機能を踏まえて、教育経営に関係する様々な主体間の権利義務関係や役割を明らかにしながら、政策目標を実現していく政策立案と検証、法制度・組織づくりやその管理・経営を研究する学問である。授業では、国、自治体の教育行政制度と機能、学校の組織・運営と管理、教員の職能開発と人事管理政策、学校改革の論議・動向等を学び、日本の教育行政の実際と今後の課題を考える。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/sinri/s_1520911.html


教育の社会史(’08)

現代の教育の問題群に、歴史学の方法によるアプローチをこころみる。そのために、学校に収斂させるのではなく、社会に埋め込まれた人間形成のあり方に視点をすえて「教育の社会史」を描く。おもに17世紀以後の日本の教育史をたどるが、なかでも知を伝達するメディア、身体や時間の近代化、試験の歴史、教育におけるジェンダー、移民社会にみる異文化教育の特質など、高度情報化とグローバル化を見通した主題に留意する。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/sinri/s_1520300.html


コミュニケーション論序説(’07)

「人から人へと何かを伝えるというのはどういうことか」「人から人には何が伝わるのか」という2点をテーマに、コミュニケーション学の枠組みを骨格に据えつつ分野横断的な内容を組み立てる。毎回のテーマにそったゲストをお呼びして、それぞれの分野で、何をどう伝えようとしているのか、何がどう伝わっているとみなされているのかを話して頂く。様々な分野への興味を開花させるきっかけとなるような話題の提供を心がけたい。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/kiso/s_1112317.html


日本語表現法(’07)

小論文やレポート類などを、考えを表現する文章ととらえ、その書き方を実作の分析を通じて学ぶ。特に生涯学習の観点から、表現したいことがらを持っていながら、それを意識して顕在化し具体的な言語表現としてまとめる術がわからない、という学生を念頭に置き、自らの考えを、読み手が理解しやすいように表現する方途の基礎を、【基礎】【応用】【発展】各5回の段階を追って身に付けていく。各段階は、模擬的な実作を分析・解説する形で進めると共に、表現の力と表裏関係にある、文章を読み取る力を養うことにも配慮する。これらの学習を通じて、文章表現の基本的な手法を身に付けると共に、自らの言語表現に自覚的になっていくための視点を提供する。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/kiso/s_1112503.html


現代の会計(’08)

会計上のトピックスが一般紙にもしばしば登場してくる。会計および監査が今日ほど社会の注目を受けることはかつてなく、会計制度の大変革いわゆる「会計ビッグバン」が社会経済に大きなインパクトを与えている。この大きく変容する現代の会計を読み解くため、「歴史」、「理論」、「社会」の3つの視軸をとおして講義を進める。

http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/ippan_syakai/s_1121006.html


大学と社会(’08)

今日、大学は学問の研究や高等教育の場としてほとんどの社会に普及しており、いずれの社会のどの大学にも大学としての共通点がみられる。しかし、それぞれの社会に存在する大学は多種多様で、大学と社会との関係もさまざまである。本科目では、ヨーロッパ中世社会に誕生した大学が近代日本に導入される歴史的経緯をふまえ、現代日本における大学と社会との関係を、グローバル化や高度情報化、学習社会化など社会変化というマクロな観点から学ぶとともに、大学の活動と機能について理解を深める。大学の組織・運営 や大学改革の動向と課題についても学習する。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/sinri/s_1520407.html


大学院


教育経営論(’08)

現在、日本では教育改革が進行中であるが、今日の改革が従来と大きく異なるのは、国の教育行政から学校単位の経営に至るまであらゆるレベルで問題が生起し、それらに対応した改革が同時進行的に取り組まれている点である。講義では、国、自治体、学校の各段階における教育システムの現状と問題、改革の論議・動向等を概観し、これからの教育システムの改革と経営・運営上の課題を考える。現在の教育システムとそれが直面する諸問題、そして、それらに対する対応策=政策課題について、教育の経営・管理という観点から学習することを目的とした科目である。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/daigakuin/B/ningen/s_8940282.html


大学のマネジメント(’08)

近年、大学を巡る諸環境は大きく変化し、とくに18歳人口の減少は私学経営に大きな影を投げかけ、また国公立大学においては法人化後の大学運営に格段の工夫が求められている。さらに雇用構造の変化や科学技術の高度化、大学マーケットのグローバル化などに対応するためには、従来の大学事務処理を遥かに超えるマネジメントの革新が求められている。本科目では、これらの変化に対応するための知識や考え方を、大学事務職員を始めとする関係者に身に付けさせることを目的とする。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/daigakuin/B/syakai/s_8930392.html


経営システム1(’06)-企業の公的経営

受講者が関心をもつテーマや修士論文で取り上げようとするテーマをより広い学習分野の中から選択できるよう「経営システム」は、講義内容を大きく、二つに分けた。前半の第部では私企業(民間企業)の経営を対象とし、後半の第部では公企業の経営を対象とする部分から構成させるよう努力した。それぞれの分野の重要問題を簡潔に学ぶことにしよう。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/daigakuin/B/syakai/s_8930252.html


コーポレート・ガバナンス(’09)

最初に自治体と政策を検討するための、政治的サイクルと政策的サイクルという枠組みを提示する。次に自治体の政治行政の制度的枠組みと近年の改革について説明をする。さらに、自治体とコミュニティ、住民の関係を概観し、これらをつなぐ自治体の諸政策の課題を検討する。最後に、現代の自治体と政策のあり方を歴史的・比較的文脈の中に位置づける。
http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/H22/daigakuin/B/syakai/s_8930538.html


《追記》

放送大学のススメ<前編>(2010年07月07日 N.IDEMITSU-Blog)

2010年7月3日土曜日

税金で行くお手盛り外国出張

国立大学法人や独立行政法人の約6割が、海外出張で役員以外の幹部や一般職員の航空機のビジネスクラス搭乗を認めていることが、財務省の予算執行調査でわかったそうです。

財務省が6月29日に発表した予算試行調査によると、2009年度の全出張件数に対する利用実績は平均約13%でしたが、利用割合が5割を超す法人も6つあったそうです。

不況続きで暮らしに苦しむ国民が増えている中で、税金を原資とする豪華な外国出張が平然と行われていることについて、怒りを覚える方は少なくないのではないでしょうか。

2010年7月2日金曜日

沖縄米軍機墜落から51年

私達日本人が、沖縄「慰霊の日」(6月23日)*1とともに、絶対に記憶から消してはならない日があります。

それは、6月30日。

沖縄・うるま市の小学校に、嘉手納基地を飛び立ったアメリカ軍機が墜落し、宮森小学校の児童11人と近隣の住民6人が死亡した悲しい事故から51年が経ちました。*2

沖縄は、いつまで基地の危険にさらされなければならないのでしょうか。


沖縄米軍機事故51年 墜落語る34年後の決意(2010 年7月1日 朝日新聞)

息子犠牲 慰霊碑に誓う

沖縄県うるま市の宮森小学校に1959年、米軍嘉手納基地の戦闘機が墜落した事故から30日で51年を迎えた。児童11人、住民6人が犠牲になったとされる事故に、もう一人の犠牲者がいた。やけどの後遺症に苦しみ、17年後に亡くなった新垣晃さん。校内の慰霊碑に今年、初めてその名が刻まれた。

晃さんは事故当時、小学2年生。母親のハルさん(81)は事故を思い出すと、いまでも動悸がとまらなくなる。

職場だった嘉手納基地で事故の一報を聞いた。病院に駆けつけると、髪の毛がちりちりに焼け焦げ、頭に破片が突き刺さった晃さんの姿があった。ハルさんは覚悟した。「一緒に死んだ方がいい」

晃さんは全身に大やけどを負ったが、奇跡的に回復。高校時代には中距離走の沖縄県記録を樹立するほどまでに元気になった。だが、陸上部で一緒だった玉城欣也さん(59)は、体育教師を目指す晃さんがこう話したのを覚えている。「体の踏ん張りがきかない。汗が出ないんだ。医者から命にかかわることだと言われている」

晃さんは72年に琉球大に合格し、念願だった陸上部に入った。だが、めまいなどの症状に苦しんだ末に、発汗機能の低下から腎臓が働かなくなり、76年2月に23歳で亡くなった。

ハルさんは米軍基地で働きながら、晃さんを女手一つで育ててきた。父親は職場で知り合った米兵だが、妊娠も知らぬまま本国へ帰っていった。「将来、父を捜しにアメリカに行く」。晃さんがいとこに打ち明けていたのを知ったのは後のことだ。

晃さんの死後、ハルさんは口を閉ざした。米兵の子という複雑な立場。戦場のような事故の記憶を、思い出したくなかったのだろう。

そのハルさんのもとを昨年、宮森小の卒業生が訪ねてきた。惨劇を伝える資料館をつくろうと奔走する彼らに、ハルさんは初めて事故の記憶を語った。

「晃にも『僕の代わりに、伝えて』と言われているような気がして・・・」

30日朝、宮森小で開かれた犠牲者の追悼集会にハルさんは足を運んだ。「晃も寂しかっただろうね。いまごろは、とっても安心して、みんなと一緒に集まって、平和を祈っているかもしれませんね」。涙が止めどなく流れたが、ハルさんは来年もこの場所を訪れようと思っている。

宮森小の慰霊碑には今年、晃さんのほか、周辺住民6人の名も新たに刻まれた。


ぜひ、ご覧ください。こどもを失った親の悲しみを・・・。


忘れたい 忘れてほしくない~宮森小 米軍機墜落事故から50年~(1)



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忘れたい 忘れてほしくない~宮森小 米軍機墜落事故から50年~(2)



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忘れたい 忘れてほしくない~宮森小 米軍機墜落事故から50年~(3)



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