2010年8月2日月曜日

自分の責任を果たしてから、意見を述べる

多くの読者は何らかの組織に属していることだろう。それは会社や団体、学校であったり、あるいはボランティア の組織、PTA、趣味のサークルといったものであるかもしれない。好むと好まざるとにかかわらず、組織に入れば自分のやり方を押し通せるとはかぎらない。もっといいやり方があると思っても、その組織のやり方にしたがわなければならないこともある。

たとえば、こんな状況を想定してみよう。自分の家に、家族以外の誰かが同居することになったとする。もし初日にその人が「ここはこう変えるべきだ、あそこはこうすべきだ」と指示してきたら、あなたはどう感じるだろうか。その提案がどれほど合理的でも、あなたは「ここは私の住まいだ。いきなり指示するとはなんだ!」と憤りを感じるはずだ。しかし、もしその人が三か月ほど住んで、炊事・洗濯・掃除などの雑用をしっかりしてくれたら、あなたは心を開いて相手の提案に耳を傾けるようになるだろう。

組織でも、それと同様のことが言える。まず自分が責任を果たして能力を証明すれば、周囲の人はあなたの意見に耳を貸すはずだ。組織の慣習にどれほどしたがうかは、あなたしだいだ。自分の信念をしっかり持っているかぎり、あなたは自分を見失うことはない。別に他人の言いなりになる必要はないのだ。

しかし、もし組織の風土が自分に合わないと感じ、 あなたがいくら努力しても提案を受け入れてくれないなら、その組織はあなたには合っていない可能性が高い。その場合、あなたはその組織では能力をぞんぶんに発揮できないだろうから、他に移ることを考えたほうがいい。


ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2006-06-15