2010年8月24日火曜日

大学予算に関する国会論議

第175回臨時国会参議院予算委員会において、8月4日には、櫻井充議員が、8月5日には、谷岡郁子議員が、それぞれ国立大学法人運営費交付金等に関する質問を行っています。(個人的には、なかなかいい質問ではなかったかと思います。)

長くなりますが、答弁も含め関係部分を抜粋してご紹介します。

来年の通常国会の予算審議で果たして同じことが言えるのか、総理大臣や文部科学大臣の言行一致が求められるところです。


平成22年8月4日

櫻井充君

それからもう一つは、教育の問題なんです。民主党の教育の政策を見てくると、私は、だれでもひとしく高校まで教育を受けられるようにという理念に対しては私はそれですばらしいことだと思っているんですが、一方、高等教育がどうなのかというと、ここが、何と言ったらいいんでしょうか、非常にお寒いんではないだろうかと。

要するに、先ほど二つ負担が重いんだということを申し上げましたが、例えば仙台で東京の大学に通うようになると、四年間で国立でも今だと一千万の仕送りをしなきゃいけないと、こういう負担を強いられるようでは相当大変だと思うんです。

私事で恐縮ですが、僕は大学6年間おやじが無職でして、一円も収入がありませんでした。ですが、自宅から通えて、たまたま国立大学に入れて、バイトでお金を稼いだから何とか卒業することができましたが、今の国立の授業料ではとてもじゃないけれどもなかなかみんな大学に通うことができないんではないのかなと、そう思っておりまして、まず、日本の高等教育をどう考えているのか、文部科学大臣に御答弁いただきたいと思います。

国務大臣(川端達夫君)

お答えいたします。
資源のほとんどない狭隘な郷土と、全世界でいえば少ない人口の中で日本がこれだけ発展し、今日まで先人の努力で発展したのは、まさに人材、そしてとりわけ科学技術を中心とした経済的にも支える人材が中心であったことは間違いない事実だというふうに思っております。そういう意味では、その人材をはぐくむのは当然ながら高等教育でありますので、高等教育における人材育成が国を支える、成長していくための根幹のテーマであることは間違いない事実だというふうに思っております。

そういう中で、しかし一方、先ほど御指摘ありましたけれども、高等教育への公財政支出は、OECDの世界の平均でいうと大体GDPの1%が日本は0.5%という、非常に少ない。同時に、その分の私の、要するに個人の負担と公財政の支出、公的支出の割合はほぼ日本は半分半分だと思います。アメリカで大体 1対2、フランスですと多分3対1ぐらいから4対1ぐらいで、公財政ということでは極めて負担が重い状況になっているということは間違いない現実だと思います。

そういう中で、今回の新経済成長戦略の中でも、その成長のエンジンとしての部分にまさに高等教育による人材育成というのを中心に据えて、今言われた意味で言いますと、奨学金の制度の充実、それから大学の質保証、国際化、大学院教育の充実強化、学生の職業教育の推進などを重点的に取り組んでいきたいという ふうに思っております。

櫻井充君

ありがとうございます。
そこで、まず国立大学についてなんですが、本来、運営交付金を減らさないという約束だったんではないんでしょうか。今運営交付金がどんどんどんどん減らされてきている現状をどうお考えでしょう。

国務大臣(川端達夫君)

国立大学法人に関する運営交付金の制度は、平成16年から法人化されました。この法人化に至るときに、例えばこの参議院の附帯決議においても、国立大学法人法制定の際の参議院附帯決議で、法人化前の公費投入額を踏まえ、所要額を確保するように努めることという附帯決議が付きました。したがいまして、法人化直後の平成16年度は法人化前と同じ水準の運営費交付金が確保されました。

しかし、その後、今日の予算委員会でもしばしば話題になりました骨太方針2006の方針で毎年度減少ということで、結果的に平成16年度は、スタートのときは前年並みが確保されたんですが、それ以降、平成21年度と比較しますと約720億円の減額ということになりました。どんどん減ってきたということであります。

そういう中で、それぞれの大学においては、人件費等の経費節減、外部資金の獲得などに必死に努力をしていただいておりますが、ここまで減ってくるということで、各大学が着実に教育研究を実施し得る必要額の確保が極めて厳しくなっているというのが現場から寄せられている声でございます。

そういう中で、今年度の予算編成がございます。平成22年度までは、それまでは従来いわゆる骨太方針に基づいて1%削減方針ということで毎年1%ずつ切っていくということが、骨太方針が年度的に終わりましたので何とか1%という減額目標はクリアするという意味で、ぎりぎり、0.9減ということに加えて 補正で医療機器のプラスをするということで、ほぼ21年度並みを、減額じゃなくて並みを維持できたというのがぎりぎりのところでございました。

そういう中で、今回の概算要求基準を含めて非常に厳しい編成方針の中でありますけれども、いろんな知恵を使う中で、大学の努力や無駄をなくすのは当然でありますけれども、大学の運営費交付金が適切に維持できるように最大限努力してまいりたいと思っております。

櫻井充君

ありがとうございます。
大臣、今のままの大学の在り方で予算だけを維持することがいいかどうかという、もうそろそろ総括をするべきだと思っているんですね。

例えば山形大学の医学部というのは、本来は地域の医師不足対策としてつくられた学部です。しかし、関東からみんな来て関東に帰っていくから、いつまでたったって地域の医師不足は解消しないんですよ。そうすると、何を申し上げたいのかというと、大学ごとにもうそろそろ、ここは例えば地域のための大学にしましょうと、皆さん、なかなか低所得で苦しんでいる方々もこうやって国立に入って、そしてまた地域で貢献できますよというような人材育成の在り方を考えて いかなきゃいけないんじゃないか。すべてがミニ東大を目指すようなことは非常におかしくて、5年ぐらい掛けて、例えばもう今、国の予算を減らすのをやめて、運営交付金を維持して、その代わりこの5年間でどういうふうに再建していくのかと、そういうことをもうちょっと明確なビジョンを打ち出していく必要性があるんじゃないのかなと、そう思いますが、いかがでしょう。

国務大臣(川端達夫君)

基本的には私も同じ認識を持っております。
大学の運営費交付金が骨太方針では非常に削られてきたという中でも、やはり大変厳しいという状況に置かれて初めてといいますか、何とか生き残るにはどうしたらいいんだろうということの危惧が出てきて努力されていることも事実だというふうに思います。

そういう中で、それぞれの大学には、非常に高度な最先端の研究をやっていくと、世界レベルで頑張るという機能を非常に強く持つ大学も当然必要でありますけれども、先生言われるように、地域に根差した、地域に非常に役に立つというか、今病院の話しされましたけど、人材を教育するということに力点を置いた大学、あるいはある部分に非常に特色を持った専門的な大学、それぞれ特色のある大学を目指していかないと結局学生の質も確保できなくなるという事態があるというふうに思っております。そういう部分で、自分たちの大学がどこに比重を置いてしっかり生きるのかと、そして、それを目指していくことには、我々もお手伝いとしてのいろんな政策それから財源の応援をするというふうな仕組みも是非とも考えたい。

同時に、民間企業ですといわゆる格付という評価ありますね、スリーAであるとかAABであるとか。そういう部分が大学の評価機構というのはあるんですが、今までの大学としての運営をしてきた人が中心となってやっているだけではなくて、大学がそれぞれの特徴を生かして、こういうことで頑張ると、ここはここに非常に特色を発揮しているということが一定何らかの評価されるようなことも考えていきたいと今思っております。

そういう意味で、大学教育改革に関する意味では、いわゆる複数大学の連携、あるいは機能分化、それから検証、そのことを総合的に考えて今支援体制を検討しているところでございます。

櫻井充君

ありがとうございました。
もう一つ、その学部のところで申し上げれば、例えば歯学部などはもう国立のある部分、いや、全部なくせとは申し上げません。もちろん必要なんですが、もう過剰になっている歯医者さんのことを考えてくると、大変申し訳ないんですが、廃止した方がいいんではないだろうかと思うところもあるわけです。多額の税金が使われているわけですね。ですから、その人材育成として、この国のこれからの、産業だけではなくて社会全体としてどういう人たちを育成していかなきゃいけないのかということ全体を考えた上で教育政策を僕は行っていかなければいけないと思っているんです。

そういう意味で、総理に御決意も含めて御答弁いただきたいんですが、先ほど、元気な日本を復活させるとおっしゃいました。しかし、そのことを実現してい くためには、やはり何といっても人材を育成していくということが極めて大切なことだと思っているんです。そういう点から、総理がお考えになっている教育の在り方などについて御答弁いただければと思います。

内閣総理大臣(菅直人君)

今の御質問にストレートに答えることになるかは分かりませんが、一つは、賃金カーブというものと子供の教育費という問題、私、幾つかの場面で考えさせられました。かつては年功序列、終身雇用で、最初のうちは給料がそう高くないけれども年齢に沿ってだんだん上がっていくと。そうすると、自分の子供が中学から高校、場合によっては大学に行って、そのカーブに沿って何とか教育費を払うことができると。しかし、最近はどちらかといえば、能力主義といえばある意味ではいいことでありますが、高い能力の人は例えば初めから8百万円もらえるけれども、しかし、低い能力の人は例えば4百万円であれば年功が上がっても給料が変わらない。そうなると、つまりは結婚して子供がだんだん大きくなったときの教育費が払えない家庭がどんどん出てくる。

こういうことを考えますと、まず基本的には、今回、高校の無償化まで我が党のマニフェストで進んだわけでありますが、やはり特に大学教育というか高等教育を含めて、社会的にそういう存在に力を入れなければならないということを考えますと、ある意味では教育予算という概念を超えて、その部分を個人が負担するというのから社会そのものが負担する、そういう社会に変えていくということが一つは大変に必要だろうと、こう思っております。

それから、その上で、高等教育の在り方というのは大変いろいろ議論が多いところでありますけれども、先日、都道府県の議長さんが官邸に来られたときに、逆に獣医さんが非常に自治体は足らないという話がありました。そういう意味では、今、歯学は少し多い状況だということがありましたが、まさに社会のニーズに合わせてそういった在り方も対応していく必要があるのではないかと思っております。

その上で、やはりまさに日本がここまである意味では経済的にも国としても大きな存在に世界の中でなり得たのは、まさに勤勉な国民とそしてその中で頑張る人たちがいた、その科学技術を含めた力によるわけですから、この分野については長期的な展望の中でしっかりした人材教育をやっていかなければならない、このように思っております。

櫻井充君

ありがとうございます。
今、総理からお話がありましたが、親の年収によって親が子供に進学してほしい先の割合というのは全然違っています。年収が4百万円以下ですと、大体、大学、大学院を含めて40%ぐらい、それから1千万を超えると大学、大学院を合わせて90%ぐらいなんです。ですから、親の所得によって自分の進むべき道が決まってしまうというのは、非常に子供たちにとって夢を持てない社会になってしまうと思うので、そういったことも踏まえて、是非人材教育の面に力を入れていただきたいと思っていますし、あわせて、これは要望しておきたいのは、科学技術の予算もセットで是非増やしていただければ有り難いなと、そう思いますので、これは要望として申し上げておきたいと思います。

それからもう一つ、これは前回の予算委員会でも申し上げたんですが、今どうも、医療全体の在り方で申し上げると、大学病院が行っている医療というのは、 もう本来大学病院がやるべきような医療じゃないことをやっているわけです。例えば、東大は1400人も外来を診ていますと言っています、地域医療に貢献していますと言っていますが、もう冗談じゃないわけですよ。東北大学はショートステイサージャリーといって胆石とか盲腸の手術までやっているんです。こうやって収入を上げなきゃいけないんですよ。だけど、こんなの大学病院の仕事じゃなくて、まさしく民業圧迫ですよ。

むしろ、やらなきゃいけないことは何かというと、特定機能病院としての役割を果たすこと、教育それからもう一つは研究をきちんと行っていくということが大事なことなんですが、残念ながら、多額の借金を抱えてそれの返済にきゅうきゅうとしているから本来の大学病院の役割がもう果たせなくなっています。

大学病院を中心としてピラミッド型の医療制度構築を考えていることからすると、財投から今8900億でしたか、この間川端大臣から御答弁ありましたが、まずこの借入れをチャラにして、チャラではないな、ゼロにしていただければ有り難いなと。つまり、そうすることによってこの金利負担だけで年間大体4百億ぐらい拠出していると。運営交付金入れているのは、もうざる、本当に消えていくわけですよ。だから、今のその大学の医療の在り方全体を考えてくると、まずここを変えないと何ともならないと思うんです。1兆円もないんですから、ここは何とかまず返済をしていただきたいと思っているんですけど、大臣、いかがでしょう。

国務大臣(川端達夫君)

私が答えていいのかどうかあれですけれども、先生御指摘のとおり、国立大学の附属病院が平成16年の法人化の際に建物、設備の整備に要した経費に係る借入金約1兆10億円を承継しまして、21年度末で元金として9200億円あります。

それで、国立大学の附属病院は、今おっしゃいましたように、人材の養成と新しい診断方法の開発、高度な研究医療、地域高度医療の最後のとりでとしての役割が大きくあるわけですが、附属病院収入で借入金の返済と附属病院経費を賄うことができない場合には、不足する部分を附属病院運営交付金として処置して病院運営に支障を来さないよう国が責任を持って運営財源を確保する仕組みとしていますが、一方で、いわゆる普通の経営においての経営改善努力をしなさいということで、毎年運営交付金の部分に関して減額されるという仕組みを同時に取り入れてきました。 

そういう部分で、おっしゃるように、本来やるべき高度医療等々への新たな設備投資のお金がない、これ以上借りられない、と同時に、本来民業でやるようなものまで利益を上げるために一生懸命やらなければならないということに陥っていることはもう御指摘のとおりでありまして、この大きく借財している部分をどういうふうにするのか。今の仕組みのままではもう限界に来ていることは事実でありますので、引き続き大きな課題として我々としても検討し、政府全体の仕組みの中で提言をしてまいりたいというふうに思っております。

また一方では、そういう中でありますが、平成22年度予算では、いわゆる教育研究医療機関の充実とか勤務改善のための附属病院の支援の充実と、それから附属病院の経営改善係数の中で高度医療に関して、要するに地域医療でない部分に関しては保険の点数が高く付く等々で、よりそちらがやれるようにという改善はさせていただいておりますし、診療報酬の改定も含めて少しは経営改善に資していますが、根幹にある9200億円の分はこれからもしっかりと対応できることの検討と同時に、先生おっしゃいましたように、いわゆる附属病院、大学の病院が本来の機能をしっかり果たしていけるということがより充実してできるようにということの施策はいろいろと考えてまいりたいと思っています。

櫻井充君

ありがとうございます。
今診療報酬の話が出ましたが、結局、大学に診療報酬、ある部分つくって付けてしまったがゆえに、地域医療のところは全く付かなかったんですよ。このことを考えても、大学の、これは野田大臣に聞いた方がいいんでしょうね、お願いだけしておきましょう、答弁もしてください、一応、前向きに考えると。ここの、今9200億円に増えていましたが、その9200億の分を、とにかく国債を発行するなりどうするか、ちょっとここはこれから考えなきゃいけないことですけど、それを4百億から毎年そうやって返しているわけですから、ここら辺のところをまず一括して借金を返済していただきたいんですが、いかがでしょう、財務大臣。

国務大臣(野田佳彦君)

現状の厳しさは先ほどの文科大臣のあの御答弁にも表れていたとおりであります。そういうことを踏まえて、櫻井委員の御提言を承りました。

櫻井充君

ありがとうございます。本当にありがとうございます。


平成22年8月5日

谷岡郁子君

おはようございます。民主党・新緑風会の谷岡郁子でございます。
今日は私は、高等教育がいかに強い経済をつくるための最も大事な基盤であり、また社会保障費を増やしながらできる典型的な例であるかということについて、論拠を挙げながら議論をしたいというふうに思っております。

すべての人に家庭環境の差なく夢とチャンスがある社会というものを保障するという意味での社会保障、そして一方では、人的資源の価値の増加という意味での強い経済のための最大効果のある投資というふうに私は高等教育を考えているわけでございます。しかるに、現在これが崩壊の危機に立っていると、そのように思っております。とりわけ、今政府から挙げられております概算要求どおりにこの基盤的な整備の予算というようなものを削るようなことがありますと、日本の大学は崩壊してしまいかねない、そして、それは日本の知的基盤であると同時に経済成長基盤を大きく損なうものであると、その危機意識に立ちまして、今日は、なぜその予算が必要なのかという点について総理を中心に是非御議論をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

まず、最初のパネルを見ていただきたいと思うんです。(資料提示)今日御用意いたしましたこのパネル、高等教育への公的財政支出についてということで、 皆様のお手元には資料として出してあります。

これは、上から、左側を見ていただきますと、韓国、イギリス、アメリカ、フランス、そして日本という順序でカーブが流れているわけですけど、何を意味しているのかといいますと、高等教育機関への公的財政支出の変化の指数なんです。これは量ではありません。この間どのくらい成長してきたのか、どのくらい各国が高等教育への支出を上げてきたのかということを示しております。

そして、この右側、同じように韓国、イギリス、アメリカ、フランス、日本の順で並んでおります。このカーブを見てみてください。韓国は、各国GDPの2000年度からの変化で、147に2000年から2006年までの間に推移をしている。これだけの経済成長をしている。約1.5倍の経済規模になったということであります。イギリスが137、アメリカが134、そしてフランスが126。ところが、日本は99と。横ばい、また全然成長していないということなんですね。

これは、その他の例えばオランダですとかドイツ、そういうヨーロッパの国々に範囲を広げましても、また過去20年にさかのぼりましても、高等教育に対して国がしっかり支出をする、そしてその基盤をつくってきたところが実は経済は成長していて、そしてそれを怠ってきたところが経済が成長していないということがはっきりしております。

1990年、日本の競争力は1位でした。2010年、27位になっております。そして、一人当たりのGDPの世界ランキング、2000年には3位でありました。2008年には23位になっております。これは、こればかりではないけれども、しかしながら、高等教育に対する支出というものを国家としてちゃんとやってこなかったということが今この状態を生んでいるのではないか。

したがいまして、高等教育にやはり公共的な国家の財政というものをつぎ込んで、人材育成のための、そして科学基盤、知的基盤のための投資、経済成長戦略のための投資として行っていくことが重要ではないかと思うのですが、総理、いかが考えられますでしょうか。

内閣総理大臣(菅直人君)

今、谷岡議員の方からこの表を見せていただいて、確かにGDPの伸びと高等教育への財政支出の伸びというのが それぞれの国で非常に相関関係が高いというのか、少なくともこの表の中ではそういう結果が表れていることは改めて認識をいたしました。

一般的に言って、やはり高等教育は、多くの国では国がというか、社会がその負担を分かち合っているわけですが、日本の場合はどうしても家庭というか、親がその相当部分を賄っていると。そうすると、せっかく優秀な子供であってもそういったものの制約で高い教育が受けられない、このことが日本のある意味での発展を阻害している、そういうことは十分に言えるかと思います。

特に、日本の社会構造が変わってきている中で、必ずしもかつてのように年齢が上がれば給料が上がるという年功序列体系が崩れた中では、能力賃金というのは一方では必要なことだと思うんですけれども、しかし一方では、子供の年齢が高等教育の段階に従っても給料が上がらない人が一方で出るわけでありますので、そういった点では、社会構造全体の問題としても高等教育について、個人の負担、両親の負担ということから基本的に社会の負担に変えていくということも私は視野に入れなければならない。

もちろん、このことには相当の財政的な問題もかかわりますので、やはり国民的にそういったものを、福祉の問題と共通ですが、やはり分担し合おう、負担し合おうという国民的な合意も併せて必要になるのではないかと、このように思っております。

谷岡郁子君

皆様にお配りしました資料は、後ろから6ページ目、7ページ目のところに、それでは各国がどのようにそういう問題に対して対応しているかということを少し資料をお付けいたしました。

国公立の平均授業料と奨学金を受けている学生の割合というこの紙でございますけれども、授業料はアメリカやオーストラリアも結構高い。しかし、その分何らかの形での、例えば公益財団法人であったりするところ、そして国、またNGOであるところ、そういうところからの支援が大変大きくなっている。例えばその次のカリフォルニア大学のケースを見ていただきますと、親の年収によって、親の年収2百万の子には149万円の奨学金が出る、親の年収8百万円の子には34万円しか出ない。そして、カリフォルニア大学の学生のコストというようなものが、奨学金が、2万ドル、4万ドル、6万ドル、8万ドルというようなところで、年収によって分けられているよというような形で大学からの給付もなされているというようなことで、だれにでもチャンスがある社会というものがつくられているわけですね。こういうことに対しては日本もやはりどんどん参考にしていく必要があると思います。

次に、じゃ、その社会、だれもがチャンスを与えられる、意欲と能力のある子がしっかりとした教育を受けられる社会であるということ、そしてその子がひいては日本の経済力を担う原動力になり、税金をしっかり払って、老高齢者を支えてもらう、その構造をつくる。その一方で、既に、もしもこの高等教育、大学というものを産業として見た場合に、この産業というものは一体どのような経済的な効果をつくっているのかということを今お示しをしたいと思います。

これは、今パネルとして作りましたのは私立大学を中心とした部分でございます。これ、日本地図がかいてございます。そして、北海道3732億円、 東北4596億円とか、南関東に至っては東京を中心として7兆4469億円、全体として15.4兆円、経済効果が人的資本形成として出ているということが、これは私立大学関係者の調べで分かっております。

その式の根拠になりますのは、大卒者の生涯賃金から高卒者の生涯賃金を引いて、そして毎年の大学卒業者というものを掛ける、そうすると大体大学の教育を受けたことによってどのくらいの言わば賃金を余分に取っているか。それはもちろんその賃金に合わせて税収を、国の税収にもなるわけですから、こういう経済効果という人的の蓄積というものを、人間というものは価値に置き換えられないにしましても、価値に置き換えた場合にあえてそうすればどうなるか。毎年15.4兆円が出ているんですね。大学全体では21.5兆円、つまり約6兆円が国立大学からは出ていると。

それに対しまして、国立大学に対する、じゃ、国立大学大したことないじゃないかと言われるかもしれませんが、国立大学、実は1.5兆円ほどのお金がすべて含めて今出されております。それでも4倍、毎年実は返ってきているということが申し上げたいのであります。そして、私立大学に至っては、15.4兆円出てくるものに対して実は3200億円しか国は投資をしていないんです。そのうちの2100億円が基盤経費でありまして、そして約1100億円が、これは特別補助というふうに言われるものなんですけれども、これほどわずかな国の投資によってこれほど大きなリターンが返ってきている。

これ自身が大き過ぎるという問題もあるわけですし、またこのことについては後で討論をさせていただきますけれども、しかし、このようなリターンがあるもの、その装置を、この産業体を今概算要求によって国はつぶそうとしているのではないかという危惧があるということを申し上げたい。

そして、こういう経済、これは総理にお聞きをしたいわけですけれども、強い社会保障をつくりながら強い経済をつくりたいんだと総理はいつもおっしゃっています。まさに、これは医療だとか厚生労働省がおやりになっているような福祉だとかそういう部分だけではなくて、実は教育という、自分自身に人間がだれしもなっていく、それを追求することができるという、人間の人権の最も大きな部分を保障するところであります社会保障というものを達成しながら、しかしそれ自身が大きな経済の、産業としての成長になっていく可能性があるということにおいて高等教育というのは私はとても大事なものではないかと思うんですが、この点について総理はいかがお考えになっておりますでしょうか。

内閣総理大臣(菅直人君)

こういう形の分析というのは私も初めて拝見をしたわけですけれども、まさにアジアの国々の中でも、例えばシンガポールといったような国は非常に教育水準が高くて、国としては決して大きな国ではないけれども非常に高い生産性を持っている。そういう国々の例を見てい ると、やはりその国の教育水準、日本もかつては世界の中で、特に初等中等教育を含めて非常に高い水準にあったと言われておりますが、高等教育においては必ずしも、かなり以前から十分ではないということが指摘をされてきたわけですが、こういう新しい経済構造にどんどん変化する中で、そういったことの立ち遅れが逆に日本の経済成長に少し影を落としている、そのように私も受け止めております。

谷岡郁子君

さて、今の大学、そしてその大学へ通う若者たちが今どのような状況に置かれているか、それを今皆様方に御理解をいただきたいと思いまして、少し私は総理に失礼ながら個人的な質問をさせていただきたいと思います。

総理は昭和40年に東京工業大学に御入学、国立大学ですけれども、なさったというふうに伺っておりますけれども、そのときに入学金を幾ら払われて、授業料を幾ら払われたか覚えておいでになりますでしょうか。

内閣総理大臣(菅直人君)

そういう御質問をいただくということが少し聞こえてきましたので、思い出したり調べたりをいたしました。

たしか入学金が1500円でありまして、授業料は1年間で1万2千円であったと。受験料もたしか1500円で済んで、私は余り親孝行はしていないんですが、一つしか学校を受けなかったものですから比較的入学時には親に大きな負担を掛けないで済んだのかなと、そんなことを思い出しておりました。

谷岡郁子君

ありがとうございます。
パネルにしてまいりました。総理、昭和40年度に入学されました。そのときの入学金が1500円でございます。授業料1万2千円でございます。マルを差し上げたいと思います。

平成22年度の今入学する学生たちが、じゃ、どうなっているか。28万2千円の入学金を払っております。これ、当時から考えますと188倍になっているんです。そして、授業料は53万5800円、これ年間ですが、45倍になっております。そして、当時は総理は多分年金をお払いになっていなかったと思います。途中で、過去十数年にわたりまして二十歳になったら学生は年金を払うと。収入がないけれども、年金を払うと。そして、2年間は猶予されるけ れども、2年間以上遅れたら延滞金のようなものまで付いてしまうと。今、学生たちはそのシビアな状況、つまり、ここは私はあえて無限倍と書かせていただいたわけですけれども、そういう形で払っている。そういう状況があるわけでございます。

そして、じゃ、ちなみに、そのときからの物価だとか初任給だとかはどうなっているかということを御参考までに申し上げますと、白米10キロが1,125円でしたから、これは2.5倍から3倍ぐらいに今なっております。公務員の初任給は2万1600円。今、約10倍になっています。大体23歳から27歳の人が年収40から70万円の時代であったというふうに言われておりますので、これも7、8倍から10倍かなと。そして、週刊誌は1冊50円でございました。 大体、物価から考えると7、8倍であったものが、今、国立大学はこれほど高くなってしまっているんですね。

総理、そしてもう一つ、ちょっと申し訳ないんですが、5年行かれましたよね、4年間ではなくて。いや、卒業の年度を見せていただいたら、70年度になっているんです。1年余分に実は行ってらっしゃるんですね。この1年、道草なのか余分なのかよく分からないんですが、総理はどういう背景、状況があって5年行かれたということでありましょうか。

内閣総理大臣(菅直人君)

こういう場で申し上げていいのかどうか分かりませんが、せっかくの御質問ですから答えさせていただきますと、 実は4年で卒業する予定でもうほとんど単位は取って、最後は卒業研究に取りかかろうとしておりました。当時、日本中の大学がいろんな意味で大学紛争でもめておりまして、ちょうど私が卒業する予定の年には東大のあの安田講堂の攻防戦がありました。

私の大学は余り学生運動が盛んなところではなかったんですけれども、やはりその時代の背景で東工大においてもストライキが発生し、バリケード封鎖というようなことになりまして、私、もう卒業する予定だったので余り深入りはして元々はいなかったんですが、いろんな会合に顔を出している間に、自分で一年生のころからサークルをつくったりしていた関係もあって、つい発言をしたものですから、だんだん逃げ切れなくなって、しばらくしたら一年下の別のグループのリーダーから、あなたはまさかこれで4月になったら卒業するんじゃないだろうなと言われてはたと困ったんですけれども、結果的には卒業研究を出さないことで留年をいたしました。

そんなことで5年間大学にいることになりましたけれども、考えてみますと、その最後の一年があったことがあるいは政治家という形に、まだその時点では全く考えてはいませんでしたけれども、そういう社会の大きな波の中でいろいろ経験したことが今日の私の政治活動のスタートだったのかなと、今思ってみるとそんなふうに思えております。

谷岡郁子君

まさに私が言っていただきたかったことを言っていただいて、本当にありがとうございます。
大学時代というものは、単に授業に出てメモリーチップをどんどん増やすように、ただたくさんの知識を詰め込めばいいんではない。むしろ、人間として人生を生きていく、社会人として生きていくためのOSをそこで人間としてつくっている。人間の幅ができる。自分自身を発見し、自分の価値観というものを組み立てていき、そして社会というものに目覚め、場合によっては政治的な主権者としての在り方というものを考えて、それを培っていく。そういう経験というものと 大学で学ぶ知識というものが相まって人間としての能力ある総体というものをつくっていくものだと私も考えます。

そういう余裕が、じゃ今、18歳、19歳の将来の総理は、将来の菅直人は今どんな境遇にあるんだろうかということを私は今日ここでお考えをいただきたいと思ったわけです。

私の教え子にも伊調千春というオリンピックで銀メダルを取った子がおりますが、この子は大学2年、東京へ行きました。でも、オリンピック種目に決まって、どうしてもオリンピックに出たいということで、私の大学に1年生から入り直しをしました。そこでダブり2年です。そして、大学3年生のときにアテネ・オリンピックで銀メダルを取りました。彼女にとって本当に悔しい事実であり、受け入れられなかった。もう一度おやりと言ったことに対して、私は御両親を説得して、彼女ももう一度再チャレンジをするんだということで、またそれから4年間レスリングに明け暮れました。

銀メダルは結果として同じものが北京オリンピックで手に入りました。しかし、この4年間の彼女の道草、彼女の旅、これが人間として、頑張り屋ではあるけれども少し狭かった、そして不器用であった一人の若者を本当に大きな人間にした。銀メダルを受け入れられなかった子は、4年後に私に銀メダルを見せながら、見てください、学長、とってもきれいです、私はこの色が好きです、そう言ってくれるようになりました。

そういうその人間の成長、若者の旅、この道草。効率的ではないかもしれない、あるいはそこからいえば道草や余分なことに見えるかもしれない、結果同じだったかもしれない。でも、私は、人間として彼女はそこで絶対的に変わっていて、そして今、青森できっとすばらしい高校教師をやってくれているというふうに信じます。

今の若者たち、本当に困窮しております。皆様のところに付けました新聞記事を是非御覧いただきたいと思うんです。一日の平均、これは携帯代や光熱費、そういうものも入れて、食費も含めて1120円、これが今の大学生一人の平均です。仕送りは10年前の10万円から今7万円に減ってます。そして、仕送りがゼロの大学生たちが10人に1人であります。そして、親の給料は増えていませんから、どんどん過酷になっていて、かつて払わなくてもいい、その年金を払わされているという、そういうような状況があります。

その中で、先ほど総理がおっしゃいましたように、あの時代だから5年行けた。人生でとっても今の基盤をおつくりになるための重要な、言わば基盤づくりをその時代になさった。今そのことが若者たちに許されてないんですね。ベルトコンベヤーに載せられた促成栽培の言わば野菜かあるいは一つ一つの機械であるかのように人間づくりが行われてしまっている。この若者たちがもっと自分になっていくために、育っていくために、そして日本に資する人材になっていくためにしっかりとした支援をする。そのために必要であれば給付を含めての奨学金を考えること、必要じゃないでしょうか。総理、いかがお考えになりますでしょうか。

内閣総理大臣(菅直人君)

改めてそういうふうに言っていただきますと、私もその最後の一年間で読んだ本は今でも頭によく残っております。例えば、「東大紛争の記録」なんという本も読んだことがありますし、何かガルブレイスの本を読んだりしていろいろ考えさせられた一年だったという感じがいたしております。

そういう中で、今の学生の皆さんのそういう余裕のなさというか、経済的にも余裕のなさというものがあるということを聞いて、確かに、私にも二人の男の子が、もう卒業しましたけれども、そんなにも私のときとは違った状況なんだということを改めて感じさせていただきました。

一つ、別個の思い出申しますと、アメリカの学生さん、私はあるとき、モルモン教徒のあそこの町に行きましたけれども、19歳ぐらいになると世界に、特に 日本なんかにも来られて、しばらく学校を休んで来られて、そしてまた戻っていく。アメリカの学生の場合に話を聞いてみると、結構、4年間でさっと終わるんではなくて、途中で別のことをやったり、あるいは一遍社会に出てまた大学に戻ったり、そういうことを割と自然にやっているという話を聞きまして、確かにそういう経験を積むことが、単に4年間とか6年間とか学生生活を送る以上に何か複合的な力を身に付けることになるのかなと、そういった話もアメリカの若者から聞いて感じたことを今思い出しておりました。

谷岡郁子君

そこで、菅総理、是非これからもっと学生たちを支援できることを今の厳しい財政状況の中ででもお考えいただけないでしょうか。その辺についていかがでございましょうか。

内閣総理大臣(菅直人君)

谷岡議員のお話の流れの持っていき方が大変、優れた政治家であられるので、そういう意味では、お話を聞いている中で、いかに高等教育の現状が学生の皆さん、若者にとって厳しいものか、これを何とかしなければならないという気持ちに私もより強くなっております。

もちろん、財政的ないろんな問題がありますが、先ほども申し上げましたように、やはり福祉と教育というのは、谷岡議員も言われたように、ある意味では共通性を持っている中で、そういう若者こそが日本の将来を支えるんだと、それにはある程度負担をし合うという、そういうことも併せて、是非若者が将来の日本を背負って、逆に言えば、私たちがもう高齢化の域にだんだん差しかかる団塊の世代も含めて、将来の日本を支えてくれるような若者を生み出すために財政的な問題もしっかり考えなければならないと改めて感じたところであります。

谷岡郁子君

ありがとうございます。とても心強い、もう感謝申し上げます。
それで、文科大臣にお聞きをしたいんですけれども、今現在出ております、各省庁、概算要求10%シーリングと、こういうものが掛かりました場合に、日本の大学というものがどうなるというふうにお考えになっているのか、文科大臣の方の御所見を是非お願い申し上げます。

国務大臣(川端達夫君)

非常に本質的な視点からの御議論をいただいて大変ありがとうございます。
高等教育が大変大事であるということはもう言をまたないというふうに思います。そういう中で概算要求の組替え基準が先般決定をいたしました。これを機械的に国立大学の運営費交付金あるいは私学助成費等々を一割カットするということになりますと、約1500億円、1兆5千億ですので1500億円減額をすると。これは今まで、過去いわゆる骨太方針でずっと減らされてきました。それが5年間で行われた額を倍ぐらい上回る額を一年でやるということになりますと、現実的には機械的に当てはめる額でやれば、大学が行う研究と教育に深刻な影響を与えることは事実だというふうに思っております。ただ、これは、概算要求基準の部分は文科省のトータルの一定の基準での枠の一割を削減努力しなさい、そしてそれぞれに再配分をしなさいということが趣旨でございますので、必ずしも一律に全部減らさなければならないということではありません。

そういう意味で、先ほど来の御議論にありますように、大学、高等教育が日本にとって経済的な活力、そして将来の人材育成にとって極めて大きな役割を果たしているという意味で、私はこの機能がより充実強化されるように、しっかりと概算要求が組めるよう努力を最大やってまいる所存でございます。

谷岡郁子君

ありがとうございます。
今、概算要求がはめられたらという話がありました。そこで、野田財務大臣にお聞きをしたいわけですけれども、例えば独立法人の方へ一定の出向をさせて付け替えるとか、そういうことをやったりというようなことの手法も含めて、例えば特別会計を持っている、あるいは複数持っている省庁と持っていない省庁、そして、先ほど来出ていますように、例えば耐震化の問題、教員、例えば35人学級にしたらというようなことで、義務経費が物すごく多い文科省のような省庁と、それは政策官庁的なところで政策経費が多いところと、その割合から考えても、今文科大臣は努力するというふうにおっしゃいましたけれども、同じ一律に10%、これはないんじゃないんですかと私は思ってしまうんですけど、その辺いかがなんですか、もう少し柔軟にできないんでしょうか。

国務大臣(野田佳彦君)

お答えをいたします。
もう委員御案内のとおりだと思いますけれども、歳出の大枠を71兆というふうにこれは中期財政フレームで決めました。その中で、地方交付税あるいは年金、医療等の社会保障関係、これを除いたところの約24兆円を御指摘のとおり9割要求という形で要求をしていただき、その分、ちょっと誤解があると困るんですが、一割削減ではなくて、その削減した分は要望もできるという形になっています。その要望を全部まとめた中で特別枠をつくるという形になります。

各省いろんな特徴があることは事実なんです。人件費の多い役所、義務的経費が多い役所、政策的経費といってもいろいろ特徴があります。それ一つ一つというよりも、もう各省にそれぞれの査定大臣としてお取り組みをいただきながら優先順位を付けていただき、そこは人件費も義務的経費も、あらゆる経費を聖域なく大胆に、細かい経費区分じゃなくて、大胆にあらゆるものを見直していただきながら要求をしていただき、その後出てきた要望を踏まえて特別枠できちっと政治的な判断で配分をしていくと、そういう仕組みになっているということでございます。

谷岡郁子君

それがいわゆるコンテストという部分であったり、特別というふうに言われる部分だと思うんですけどね。

例えばビルに例えますと、私は、ビルのコンペだとかコンテスト、その上物の外観のデザインとかそういうものに関してはよく見るわけです。ところが、基礎工事、土台工事に関するコンペだとかそういう展覧会などというものは見たことがありません。

何を申し上げたいかといいますと、その基盤的なものというものはしばしばコンテストにはなじまないんではないか。大学を、今もちろん、先ほど来申し上げていますように、その教育研究というものをしっかりやるための基盤経費というのは、言ってみれば、今問題になっておりますお年寄りたちの住民台帳であり、さんざん何年前からずっと今も問題になっております年金台帳、このような地味で土台であるものというのは、なかなかそのコンテスト的なもの、そういうプロジェクト的なものにはなじまなくて、やはり土台、基礎工事であるような基盤的な費用というものをしっかりつくらなきゃいけないということであるならば、その今のプラスアルファというところはなじまないんじゃないか。だから、大学、高等教育の基盤経費はここのいわゆる10%という部分からは外すべきじゃないかということを私は申し上げているんですが、もう一度、いかがでございますか。

国務大臣(野田佳彦君)

特別枠、一応今回の組替え基準の中では1兆円を相当程度超える額という表現でありますが、これはこれからの努力によってこのかさがどれぐらいになるかということはありますが、その配分についての観点は、一つはマニフェスト施策に関する、二つ目はデフレを脱却し、成長分野に資する事業、三つ目が雇用拡大に資する事業、四つ目ありまして、これは人材育成、そして国民生活の安定、安全、安心、こういう項目が入っていますので、おっしゃるとおり、だから、人材育成の観点からもこの特別枠の配分というのはあり得るということです。

必ずしも、これは誤解のないようにお願いしたいんですが、政策コンテストだけで配分決めるわけではありません。予算編成の透明化という中でコンテストと いう試みもやりますが、これまでの各省の御努力を踏まえた努力評価制度というのもあります。そういうことを勘案しながら、最終的には総理主導でまさに政治の判断をしていくということでございます。

谷岡郁子君

少し安心をいたしました。ありがとうございます。
先ほど文科大臣からも御説明がありましたけれども、(発言する者あり)安心しちゃ駄目ですか。

ちょっと今、表、次のものを見ていただきたいんですけれども、これが家計負担なんですね。日本は下から4番目のところに置いておりますけれども、国の支出が物すごく小さい。国の支出が小さいがために家計負担がすごく重くなってしまっている。それが先ほど総理がおっしゃいましたように、家庭によっては行けない子が増えていると。今、私が申し上げたいのは、そのシーリングで絶対大変な問題になっているんだよというんだけれども、実は増やすことが必要なわけで す。これも可能なんでしょうか。野田大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(野田佳彦君)

一律削減というのは、あくまで府省横断的に大胆な組替えをするためのまさに土台づくりなんですよね。だから、場合によっては、特別枠の中での評価で増査定になるような事業だってもちろん出てくるというふうに思います。

谷岡郁子君

先ほど来の議論を聞いておられまして、高等教育についてはそうなり得るというふうにお考えでしょうか。なる可能性が高いとお考えでしょうか。

国務大臣(野田佳彦君)

だんだん谷岡ワールドにいざなわれてまいりましたけれども、事の重要性については理解をしているつもりでございます。

谷岡郁子君

もう少し、では、どのくらいこれが深刻な問題であるかを御説明、私の方から申し上げたいと思います。次のまたパネルをお願いします。

東大から始まりまして最後が小樽商科大まで、80の国立大学を並べました。そして、平成22年度国立大学法人運営費交付金予算額における概算要求組替え基準の影響額の例示ということで出させていただいているんですが、この赤のところ、3分の1ぐらいの大学、これが、この交付金がゼロになるぐらい、10%カットすると減るんです。そして、今言われているようにそれが3年間続きますと、この黄色い部分まで全部なくなってしまうぐらいのカットが行われま す。地方の大学がなくなるかもしれない。

この地方の大学がなくなった場合にどうなるかといえば、そこの産業がどうなるか、一度東京へ行った学生たち、若者たちは地方へ帰って就職してくれるだろうか、過疎、産業の衰退、高齢化、ますます進み、ますます東京一極化が集中するかもしれないぐらいの状況になります。

もう一枚見てください。これは国立大学です。私立大学の場合はどうなるか。私学助成が10%減ったら、今ある大学のうちの半分ぐらいの大学、短大は全く補助金がゼロになるぐらいの額が全体として減るんです。もちろんそれが一挙にそこだけがなくなるわけじゃないですけれども、現在でも大変な思いをしている地方の大学というものが本当に大きな困難に見舞われ、これは国立ではありませんからどんどんつぶれていくだろうというふうに思われます。そして、それが3年続けば687大学分の補助金がゼロになるぐらいのそういう金額の話になってしまっているわけなんですね。

とりわけ打撃を受ける、今、私立大学について、文科大臣、ほかの方でもよろしいんですけれども、どういう内訳で国の予算は出されておりますでしょうか。

国務大臣(川端達夫君)

お答えいたします。
一般補助と特別補助という、そういう意味でよろしいですか。
私立大学等の経常費補助ということで、教員、学生の人数等に単価を乗じて補助金の基準となる額を算出するというのを一般補助としてやっております。さら に、めり張りを付ける、それぞれの大学の特徴、努力があるということで、教育条件、財務状況等に基づいて傾斜を掛けて各大学の補助金額を算出するということで、一般補助と特別補助を、それぞれ算定基準、数式がありまして、それに基づいて計算をして補助をするということでありますが、それで決まった額と手当てする予算額に乖離がございまして、その総額の部分での係数を出しまして、その予算額に合うように圧縮をして交付をしているというのが現状でございます。

谷岡郁子君

特別補助というのはめり張りが付いてという、聞こえがいいと思うんです。でも、多分これは原口総務大臣などは賛成していただけるんじゃないかと私は思うんですけれども、実は地方交付金というふうに言われる地方にとって自由に使えるお金は使い勝手がいいんだけれども、各省庁からそれぞれ特別プロジェクトと言われるもので補助率が幾らでと条件がいっぱい付くものというのは実は非常に使い勝手が悪いんですね。

こういうものが実は小泉政権下、自民党政権の中ですごくつくられてきたんですけど、その結果何が起きているかというと、実は、配分の問題としてどうなり ましたか。地方の中小大学と例えば東京の大大学でいくと、それはより地方へ行っているんでしょうか、大大学へ行っているんでしょうか。その点いかがですか。

国務大臣(川端達夫君)

今ちょっと詳細な数字を持っておりませんが、御指摘のようにメニューが非常に細かく分かれておりまして、このメ ニューをやるとということで、結果としては必ずしも地方の特色のあるところに手厚く配分されているということの傾向ではないと承知をしております。

谷岡郁子君

多くの場合、小泉政権下で行政改革だとか改革と言われたものが結局は大企業を利して、そして地方や中小企業に対しては本当に厳しいものであったように、このいわゆる特別補助というのは、実は大きなそもそもの基盤のあるところにとっては本当に有利なものであったんですけれども、 地方で苦労をしてその地方の経済を担っていくような弱小大学、そのためにわざわざ東京へまたみんな出てこなきゃいけないという形で親の負担も増えるわけですけれども、この悪循環をつくってきたわけなんですね。

これをやはり経常費補助ということで基盤的な一括したものにする方がはるかに効率がいいというふうに思うんですが、そこはいかがでしょうか。

国務大臣(川端達夫君)

極めて重要な観点からの御指摘だというふうに思っていまして、我々もこの私立大学の要するに補助が先ほど申し上げましたように非常に厳しい財政状況の中でしっかりと質が確保できる、効果的にできるためには、一番ベースから議論をし、見直して再構築をしていくことは 極めて大事だと認識をしております。

谷岡郁子君

そして、先ほどちょっとちらっと川端大臣の方から圧縮率なるものが出ましたけれども、この圧縮率というのは過去何十年か行われてきて、平均何%ぐらいで現在どのくらいになっておりますか。その変化はどこで大きく変化したのか、ちょっと教えていただけますか。

国務大臣(川端達夫君)

これは、47年度、昭和47年ですから随分昔です、スタートいたしましたときは圧縮率は、0.968235、それ以降はずっと、いわゆる96%、98%、99%等々、ほぼ95%以上ぐらいで推移をいたしまして、平成15年に初めて95%を切りました。92、0.927、16年度が0.916、そして、17年度に0.87ということで9割を切りました。以降、急激に下がりまして、平成21年、昨年度では0.718ということであります。ここ5年間で急激に圧縮率が小さくなって、現在は昨年で0.718でございます。

谷岡郁子君

総理、今何のことかと多分お考えになっているんじゃないかと思って、これテクニカルな問題ですのでちょっと御説明を申し上げます。

私立大学の助成には、何に対して、人件費に対して、学生の人数に対して等々、どういうものに対して補助をするか、それは何割補助をするかという計算式がございます。その計算式を基準に支払われるわけなんです。そして、かつてはこの交付額が予算額に収まるように圧縮をするというのは、2、3%、4、5%の言わば誤差の範囲に近いところでこれを計算、圧縮率なるものを作っていたわけなんです。

ところが、それを予算削減のために使っている。これは、例えば医療でいえば、お医者さんに払うお金が予算に収まるように今年圧縮率を掛けますといいなが ら、実は本来行くべきものの7割しか払っていないみたいなことが現実に今、どんどんそういう状況になって起きてきているんです。何のための計算根拠かすら分からない。もし農水や厚生労働でこういう問題が起きたら、恐らく暴動が起きるような問題なんですね。

やはり、こういう訳の分からないずるみたいなことを是非今回見直していただきたいんですけれども、いかがでしょうか。これは財務大臣にお聞きすべきなのか、文科大臣にお聞きすべきなのか。

国務大臣(川端達夫君)

仕組みの在り方としてこういうやり方がいいのかどうかという御指摘だというふうに思います。そういう意味で、今回の概算要求をする際には、あらゆる制度含めての総見直しを今手掛けております。その中の重要な課題だと思って、今日の御指摘もしっかり重く受け止めて対 応してまいりたいと思います。

谷岡郁子君

よく言われますのは、科学技術立国、科学技術経費というものが本当にどれほど大事なものかということは、この間、私は数か月にわたって党内、皆様からも、また日本中からも選挙の間もお聞きをしてまいりました。

しかし、じゃ、その科学技術は大事なんですけど、科学技術を担う中心はどこなのかといった場合、これは、政府のエージェンシー、独立法人のようなものもありましょう、また企業もありましょう。でも、世界中、各国は大学を中心にそれを行っている。なぜか。大学の、ユニバーシティーのユニバーサルという普遍性というのが大学でつくられ、ストックされ、また学生に継承されている知識はユニバーサルなものである。つまり、未来の世代を含めたすべての人類に開かれた共通の財産であると、これがユニバーシティーの意味だからであります。

各省庁でありましても、また企業でありましても、単純にもうけのためとか、できたら独占をしたい、そういう構造の中では知が開かれない、みんなの財産になっていかない、人類の幸福の基盤になっていかないということで、大学にできるだけ科学技術の基盤というものを集めるということを世界各国やってまいりましたし、また、そのための基盤というものを整備してきたわけです。

今、国立大学の学長たちが私の元に来て言うのは何かと。幾ら科学技術予算を増やしてもらっても、大学が大学として機能するための基本的な研究、そして教育基盤である基盤経費、先ほど来申し上げております国立大学交付金を減らされてしまったのでは、これはひどくやわな土台、そして劣化した土台の上にビルを積むようなものであって、必ず倒れるんだということなんですね。

ここの配分の問題としても私は実はその基盤経費が重要だと思うんですけど、その点は、川端文科大臣、どうお考えになりますか。

国務大臣(川端達夫君)

科学技術の重要性は御指摘のとおりでありまして、その中でそれぞれが担う役割もあります。
しかし、いわゆる研究開発、科学技術を担う、そういう部分のときに、すべてに共通しているのはベーシックな人材が育っていかなければ成り立たないと。そ れの研究開発のフィールドは、それぞれに企業もあれば独立の研究法人もあればいろんな大学もあればということでありますが、その一番根幹には大学、高等教育による人材育成が基本中の基本であるということは御指摘のとおりだというふうに思っております。

谷岡郁子君

ありがとうございます。
ただいまの議論をお聞きになりまして、総理、この辺についてどうお考えになりますでしょうか。科学技術ということは盛んに言われまして、その費用なども予算の中で取られていこうとするんですが、やはりその中心を担う、それは私立、国立、公立を問わず、大学というものをやはりその重点に、中心に置かねばならないというふうに私は考えるんですが、いかがでございましょうか。

内閣総理大臣(菅直人君)

先ほどお聞きになった私の学生時代を考えてみて、学問というのは何かということを当時考えたことがありました。私の結論は、ちょっととっぴかもしれませんが、学問というのは遊びであるというのが私の結論で、つまりは何かを目的を持たないという意味で、つまりお金もうけのためとか何かのためという目的を持たない、つまり学問それ自体が目的というか、そういうものが本来の学問というものであるというふうに私なりに定義を勝手にいたしたことがあります。

そういう意味で、先ほど谷岡委員の方からユニバーサルという言葉がありましたけれども、つまりは、たしかスーパーカミオカンデのノーベル賞を受け取られた方が、自分の研究は、もしかしたら日本の何か経済に何も資することはないかもしれないけれども、宇宙の在り方というものをやっぱり知るという人間の営みの中で、それをやはり認めてもらえるかどうかなんだということをおっしゃっていたのが大変印象的でありました。そういう意味で、大学というものがそうした まさに普遍的な学問研究の第一の場であるということは、私はそのとおりであろうと、こう思っております。

また、私も川端文科大臣の前にしばらく科学技術担当をやっておりまして、そのときにも確かに、どういう配分をするかのときに、大きなお金を有名な学者にお渡しするのがいいのか、将来、それが10年先か30年先か分かりませんが、ノーベル賞でももらうような可能性のあるかなり数の多い若手の研究者にそういう配分をするのがいいのかという、そういう議論がありまして、ある案分で配分をしたことがありました。

そういうことも含めて、やはり若手の学者がどんどん育っていく、それには、今、谷岡さんが言われたように、大学というものの一つのベースがあって、そこにいろいろな研究資金が配分されることでそれがより大きな成果につながってくる。そういう意味では、大学そのものが基盤を失ってしまうと、たとえ研究費が出たとしてもそれは必ずしもそれが生きてこないという御指摘は、私なりにはよく理解できました。

谷岡郁子君

学問は遊びであるという菅総理の今のお言葉は私は全面的に賛成なんです。
今話題になっているものにiPadがございます。iPadは、もっと小さくできるという、要は、携帯でワールドカップを見れるんだけれども人間の視力と しては見られない、それを人間化したものなんです。人間のサイズに戻したと。メールは携帯でできるけれども、本を読む、資料を読むという人間の機能に対してはそれは適さない。つまり、技術の人間化というものをiPadは行って、そしてあれほど売れました。ただ物をつくろうとせずに、遊ぶこと、読むこと、音楽を聴くこと、映画を見ることという、この遊びという人間の営み、文化を大事にすることによってiPadは生まれました。

それを、ただ物づくりという観点で、狭いところで見ていく限りはできない。だから、今、菅総理がおっしゃったように、遊びというもの、人間というものをよく見る大学というものが、ただ利潤を追う、効率を追うというところではなくて、技術だけの問題でなくて、重要だというふうに私も感じるんですね。ただ、それを大学に今集めていこうとすると財政が大変でございます。それは分かっております。

その中で、蓮舫大臣にお聞きをしたいんですけれども、やはり公益法人ですとか、それから独立行政法人、大学校、これは今まで仕分もしていらっしゃったと思うんですけれども、まだまだ、本来、各国であれば言わば大学に一元化していくような、例えば教育でありますとか人材養成であるというような分野、そういうものが日本では各省庁ばらばらに行われていたり、またそこにぶら下がる独立法人や公益法人あるいは大学校などに随分分散していく場面があると。これをやはり統合していくような形で、できるだけ、もちろん特殊なものはいっぱいありますけれども、一元化していくことが私は必要だと思うんですが、大臣として、今後そういう方向性をにらみながら事業仕分などをやっていただけるんでしょうか。

国務大臣(蓮舫君)

恐らく谷岡委員の御指摘は、まだまだすみ分けができていない、あるいは独立行政法人、公益法人、大学、それぞれにおいて似たような、類似の例えば事業であるとかあるいは公益の分野におけるような内容の事業がまだ重なって行われているんではないか、それは大学に特化をした方がいい、あるいは公益法人が行った方がいい、あるいは独立行政法人並びに国が行った方がいい、そういう御指摘だと思うんですが、まさに今年の4月、5月に独立行政法人と公益法人の事業仕分を行って、御指摘のようなすみ分けをしなければいけないという部分も幾つか私たちは提示をしました。まさに今、行政刷新会議事務局において、そのすみ分けをどのような形で行っていけば、より効率的で、より税金の使われ方としても国民の皆様方に納得いただけるのかを整理しているところでございます。

谷岡郁子君

大変有意義な今日は議論をさせていただけたというふうに思っております。
大変、財政困難な中だということは、それは私も分かっております。しかし、今、大学一つとして、ITをバージョンアップしようと思っている大学というのは多分ないだろうと思うんですね。赤字経営にもかかわらず、各省庁の毎年のIT関係のそのバージョンアップ費用というものは物すごいものがある。例えばこれを3年間止めていただいたら、多分大学から削るぐらいの費用というのは出てくるんだろうなと、そういうことも思いますし、また、今、蓮舫大臣が言われたように、一元化していったり、ちゃんとすみ分けができていくようにすれば、もっと効率的な高等教育であり、科学技術ということが日本に可能だと思うんです。

最後に総理の御決意をお聞きして、私の今日の質問を終わりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

内閣総理大臣(菅直人君)

私もかつて厚生大臣をやっていたときに、厚生省にもいろいろな研究所がありますけれども、必ずしもその知見が厚生省本体にもつながっていないようなケースが数多くありました。そういう意味で、一方で自由な研究ということもあると同時に、そうした同じ費用を出すんであれば、より広い意味で効果的な研究体制というものを考えなければならないと。

今、ITのことを言われましたけれども、これは原口大臣が非常に役所のITに関しては無駄が多いということもよく指摘をされておりますけれども、そういったまさに削るべきところ、あるいはまさに無駄と言えるようなところを思い切って削りながら、本当に必要なところに予算を配分していく、そのことに私も 責任者として最大限の努力をしたいと、このように思っております。

谷岡郁子君

ありがとうございました。終わります。


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