2011年3月26日土曜日

中教審大学分科会における議論の方向性

今年2月に中教審大学分科会の委員の交代が行われました。前期の最後の分科会と今期最初の分科会における主な意見等を抜粋してご紹介します。

大学分科会(第94回、平成23年1月19日開催)議事録(抜粋)

「大学分科会の審議経過と更に検討すべき課題」について

【水田委員】

予算のことですが、今年は文部科学省の努力でかなりいい線に行きましたが、大学は何か、頼みに行けばよくなったという考え方で、口をあけて待っているだけの、スプーンフィーディング的なやり方に慣れているという感じがします。
また来年も同じようなことが繰り返されるかもしれないということで、大学側の努力と言いますか、自分たちでどうしようかということが全然見えないことも少し考えなくてはいけないと思いますし、ここで次に検討することなど様々な課題が出てきていますが、それをぜひ進めていただきたいと思います。
何かありますと、大学は金のために研究をしているのではないと言われますが、それは少し考えるべきだと思いますので、そのような意識改革を大学にも求めるべきではないかと思います。

【今井委員】

教職員の流動化のことです。実際には、退職金の問題もあってなかなか異動がしづらい状況があることを経験したことがあります。この機能別分化や大学間連携をどんどん進めていって、それぞれに非常によい大学にしていくためには、いろいろな専門家を入れかえたりしていく必要があるのですが、そこの部分がいつまでたっても難しい点になっていますので、この点も今後の課題として、なるべく早く改善すべきではないかと考えています。

【小杉委員】

社会的・職業的自立に関する指導と大学教育との関係を考えるときには、何を学んだ学生かが大変重要で、そのような情報を入れないままで議論はできません。就職先の産業との関係も大変重要な要素ですが、その辺の話も全く入らないまま、この内定状況はずっと出し続けています。社会的・職業的自立に関する指導に向けて大学が果たす役割を考える上では、こうした情報を整理する視点がなければいけないのではないかと思います。
職業と学校教育とのかかわりを、情報レベルでもきちんと提供していくことをしないと、目の前にいる学生をどうするか、目の前の学生に対応した教育をしていくことはしにくいのではないかと思いますので、情報提供の枠組みも含めて議論していくべきだと思います。

【川嶋委員】

1つは、最大の被益者である学生ということがなかなか出てきていない。学生をいかに学びに巻き込むかという視点で改革に向けた政策立案が必要だと思います。アメリカでも、大学生はなかなか4年間で学んでいないという研究も出ています。そういう点で実証的な検証も含めて、学生を中心に据えた改革を、今後ぜひ重点的に進めていただきたいということが1点です。
2点目は機能別分化についてですが、現実には大学はすでに非常に多様化していると思います。しかし、それが臨教審以来言われている個性化という観点、これはもう30年以上にわたって個性化が必要と言われていますが、多様化はしているが必ずしも個性化しているとは言えない。つまり、各大学はどこに自分たちの強みがあるのか、特性があるのか、ほかの大学と差別化できているのかが十分認識されていない。先ほどもプロファイリングするという話がありましたが、それが見えてこないということがあったと思います。この30年以上にわたって個性化や機能別分化が政策的に言われてきたにもかかわらず、なぜそれが社会的に目に見える形になっていないのか。あるいは実現できていないのかは、次期以降、きちんと検証をやっていただきたいと思います。なぜ、これまで繰り返し指摘されてきたことが実現できていないのかの検証をぜひしていただきたいと思います。
最後に3点目ですが、第1次報告で、今求められているのは構造転換であるということが1つのキーワードになっていました。これは、次期も構造をいかに変えていくかを1つの切り口にしていただきたいと思います。今までいろいろな委員が言ってきたように、大学と社会との関係、大学と初等中等教育との関係、あるいは大学セクターの中における設置者別、個々の大学の間の関係が変わってきていますし、変わらざるを得ない。正に構造改革、構造転換が日本の高等教育システムの中で必要ということですので、この点も含めて、次期に検討していただければと思います。

【河田委員】

日本には私立の短大と4年制大学が計969ありますが、その中で元気な大学はしっかりとその地域の要求に応じて、いわゆる機能別分化をとげ個性を持ってやっています。ですから、東京で見えなくても生き残っているし、元気であるということは言いたいと思います。
ある地方に大学が存在し、そこに若い学生がいることがその地域を活性化し元気づけているのであって、その地域から大学が消えてなくなることは、その地域にとって大きな損害だと思います。ですから、ぜひともここで、都道府県や市町村と協力しつつ、大学間連携や産官学連携を進めるという項目を入れていただければと思います。
それから、特にアメリカの大学の先生方がいつも言われるのは、日本の大学はカリキュラムがどうなっているのかが本当に見えない。ナンバリングをしっかりとして、この科目をとれば次はこうなるということがわかるような形にすることが必要だと思います。例えば、そういうところに教員採用や入学者受入れの取扱い、その後に授業科目のナンバリングを入れておいていただくと、次期の中教審で推し進めていけます。

【安西分科会長】

機能別分化が1つの中心課題に今後なっていくだろうと思います。特に大学の場合、大学自治ということと、時代の要求の狭間で行ったり来たりという状況が続いてきたように思いますが、もうそれでは済まないということは、この大学分科会の全体的な総意と思います。

【中込委員】

「時代にふさわしいリーダーシップの育成や、産業構造の転換に幅広く対応する知識・能力の習得のために果たせる」という言葉があります。この「果たせる」は、少し目線が違うのではないかと思います。むしろ、「果たさなければいけない」という義務感で責任を負うぐらいの言葉で書いたほうがいいと思います。何か「果たせる」というと、「果たしてあげる」といった感じで、少し違うのではないか。我々の責任は一体どこに行ったのかというところで、「果たさなければいけない」と記載をお願いしたい。
もう1点は、この資料に様々な施策等が書いていますが、大学のための大学ではなく、学生のための大学でなければいけない。こういうことをもっといろいろなところに散りばめるような形をとっていただければと思います。
もちろん、大学間連携等によって学生のための大学といった形になるわけですが、そういったことで、何か大学のための大学のような議論もときどきありますから、学生のための大学であり、学校は学校のための学校ではないということをもう少しいろいろなところに散りばめていただけると大変ありがたいと思います。

【荻上副分科会長】

機能別分化は、大学が、自分のところはどこに強みがあるのか、何をやりたいのかを明確にして、それで行った取組に対してきちんと評価を受ける姿勢こそが大事と思っています。ぜひ、機能別の評価を行いながら、機能別分化を推進していくことを、この先、第6期の大学分科会並びに文部科学省で積極的に進めていただきたいと思います。そうすることによって、機能別分化が無理なく進んでいくのではないかと思います。

【森脇委員】

今回私どもが取り組んで何年かにわたって実施しているのは、これまでの改革とは違って、構造改革であり、意識改革ですので、社会的な視点も大事ですし、学生の視点ももちろん大事ですが、肝心なのは当事者である大学人です。大学人の共通理解がよほど深くされませんと、いろいろな機関との連携において、スムーズに進まないと思います。
我々は実態をとらえて議論していると思っていてもまだ十分でないのかもしれません。地方の小さな大学は、大変危機感を募らせていて、そういうところから変わっていくのではないかと思います。この現状で、具体的に形を示せと言われると、まだまだそれは苦しいところではあります。そうした変化をできるだけ早くとらえて、どう支援できるか。それは気持ちだけではなく、調整機関といいますか、様々な取組の推進機関を何らかの形で工夫して設置していただく。そういったことを更に広げたほうがいいと思いました。

【黒田委員】

地方へ行けば行くほど、機能別分化は非常に進んでいると思いますが、ただそれが社会的に見えてこないだけです。それをどのようにして可視化させていくかが1つの課題だと思いますし、これは政策誘導の中心になると思います。
この政策誘導をやることと同時に、1つ前に出ていました学士課程答申、これを実効あるものにしていかないと、学位プログラムをきっちりつくっていき、日本の大学が世界的に対抗していくことをやらないといけない。今のように何となく教室の中でやっている授業で終わっているということではだめです。ですから、1つの学位プログラムをつくるということになると、これは一教員の問題ではなく、大学としての組織的な評価が問題です。
成績評価も含めてということになってきますので、これが大学にとっては一番難しいことだと思います。それぞれの自主性や独立性がありますから、これをどう改革していくか、これがFDと言われているものだと思います。ですから、意識改革をどのようにさせていくか、それとあわせてやっていかないと、この学位プログラムをつくることは不可能に近いと思います。
学位プログラムをつくるとなると、当然ナンバリングは出てきます。そういうことも含めて、しっかりとやっていただきたいと思いますが、まだまだ検討する課題がたくさん残っているので、ほとんどの項目については先送りになっていますが、その中でも、既に法改正がされて実行されるべきものがありますから、その辺はどんどん進めていただいて、それに対する国としての支援と政策誘導とをあわせてやっていかないと、これはなかなか解決できないと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

【郷副分科会長】

学士課程の問題にしても、今回のまとめにしても、非常に重要なことを多くの委員が総力を挙げてまとめてきたことだと思います。これが、現場で教育に携わっている先生方には恐らくほとんど目に触れられない。本当にそれが実態だと思いますが、学長や役員は見ざるを得ないのですが、教育を担当している先生方はほとんど見ていらっしゃらない。このことを何とかしたいと思っています。
これがないと、提案を実行することが教育に関しては非常に難しい。組織を変えなければいけないし、先生方の意識も変えなければいけない。研究は個人ベースで先生方が一生懸命されるので、そこはエンカレッジすればある程度は行くと思いますが、教育の改革は非常に難しいことがあります。こういう資料が、少なくとも大学で教育に携わっている先生方の目に触れるようなことを考えていかないと、恐らくこれまでのいろいろな答申も、機能別分化に関してもそうですし、これからもっと多様な個性をということも、ほとんどの先生方は「それ何?」という感じだと思います。

【白井委員】

学生本位で考えるといった質の視点が、今後十分に議論されなければいけないということをもう少し踏み込んで書いてもいいのではないか。大学の自主性と多様性、それと一方で質の評価はこんな視点があるとか、そういうことも具体的にやらなければいけないと思いますが、非常に難しくて多様な作業が大きい、それから決まった見方があまり簡単にはできないということはそのとおりですが、学生が一番大きい観点ですから、そういう観点から質保証をまとめていくということは、若干入れてもいいのではないかといった印象を持っています。
機能別分化の書き方ですが、社会との連携でやるということは、大学の自主性は非常に重要ですが、社会と一緒になって何が必要でその上で大学が判断してここをつくっていくといったことが必要です。連携は、今までは自分たちの好きなことだけ連携する雰囲気がありますがも、そうではないです。それを更に踏み込んだ連携が、今、必要とされているという認識をもう少し強く書いていただいてもいいのではないか。

【安西分科会長】

大学改革を一生懸命頑張っていると、大学をはじめ高等教育機関の執行部に近い方は皆様言われますが、郷委員が言われたように、一般の先生方になりますと、そういうところの経緯をあまり知らない。一方で、世の中からは大学は本当に改革をやっているのかと問われる。学生がこのような就職状況で、社会の仕組みが変わりつつあるのに何をやっているのかと。本当に時代が大きく変わりつつある中での2年間であったかと思いますが、そういう意味では、いろいろな問題点や課題がかなり浮き彫りにされ、法制化も含めて様々なことができた大学分科会であったかと認識をしています。

参考



  • 大学分科会(第94回)議事録(全文)



  • 大学分科会委員名簿(平成21年2月1日発令)


  • 中央教育審議会大学分科会(第95回、2月21日開催)各委員発言の概要(文部科学省提供資料から)
    • 審議要請の3点の事項は相互に絡み合っている課題。これまでのやり方にこだわらず、スピード感をもって取り組むことが大切。

    • 中国は高等教育に投資し、日本を含め留学生受入れを増やしている。中国、台湾、韓国は日本より高い進学率。18歳から22歳でない方も大学で学べる体制を作らなければならない。それぞれの地方において大学は重要な役割を持っている。都道府県、市町村と協力した大きな連携をお願いしたい。

    • 質の保証と言った場合に、学生の9割はビジネスの世界で働く。大学で単に知識吸収の成果だけで質の保証というものを見るべきでない。実際の社会でリーダーシップを発揮するための能力もって卒業してもらわないといけない。どんな組織でもリーダーがリーダーシップを発揮できなければ変革できない。学長がリーダーシップをはかれる組織運営の仕組みを考えるべき。また、学長を選任する仕組みも考えていただきたい。

    • 画一的に質の保証や、機能別分化を考えるのは難しい。現在、約6割が大学に行く時代になったときに、大学に格差が生じているのではないか。人間教育がなされていない、学習をする基礎体力がない、国語力がなくコミュニケーションがとれない状態できてしまっている学生たちを教育しなければならない大学もあり、一律に考えるのは難しい。

    • 教授会の選挙で学部長に選ばれても権限が不透明。一定の統一的なガバナンスの枠組みがあってもよい。高校生が高校生としての必要な要件を満たさないままに卒業しているケースが存在している。学びなおしをおこなっているところで小学校3年生の算数のドリルをしているということが現実にある。高校卒業時点で高校卒業の要件を満たしていれば大学の質の保証は容易かもしれない。それを高校にいうと中学校が中学生の要件を満たさずに卒業してくるといわれる。高校卒業資格試験を設けるなど、大学だけでは質保証はできない。

    • 教員養成系の大学は人手がかかり運営が厳しい。教員養成を担っている国立間の連携、情報交換の仕組みはかなりある。一方で、公立はないので働きかけをおこなっている。機能別の連携と、運営面での連携を検討していきたい。

    • ガバナンスが非常に大事。ただ、大学の中からだけでは難しく、情報公開と評価の制度も必要となる。情報公開のあり方も議論したい。また、財務基盤も極めて重要。授業料をとってしっかり教育していくのが大切でないか。学生の支援をどうしていくか。奨学金は貸付でいいのか議諭していかなければいけない。

    • 質の保証を国際的な視点から考えると大学と産業界との関係というのは非常に大切。大学改革を行うためには産業界の入りロの部分との関係が大切。グローバル人材育成ということを考えた場合、留学をしようと思っても就職活動が3年から始まるため難しい現状がある。また、一括採用で1回失敗すると2回目のチャンスがないということが、学生の行動を大きく規定している。大学と産業界の対話が非常に大切だと思う。大学の国際競争力の問題も重要。情報発信と海外の大学との連携を進めることが重要。

    • 機能分化のそれぞれの機能がどういう割合なのか、どういう人材をどれくらい供給していけばいいのかという国の形にかかわる問題を議論できれば。質保証は何を保証しようとしているのがよくわからない。質保証のための仕組みという話はかなりやってきた。情報公開は実質的な質の保証につながる。留学は学生自体が外に出て行って経験するわけで、情報公開そのもの。費用はかかるが動きたい学生が動けるようにすべき。もうひとつは社会経験。世の中どういうものかを教えなきやいけない。

    • 公立大学の立場を踏まえて、利益代表ではなく、公立大学がどうあるべきか意見を述べたい。国立私立の狭間で忘れられがち。大学分科会でされている議論が大学人に共有されているか疑問。教員の意識を変えるというのがとても大切。この審議会の議論を末端の教員を含めて共有できないか。

    • 大学の取組を支援する仕組み、活動を支援する法人について取組を進めたいということで、心強く思っている。私学事業団などはその筆頭。こうした団体の調査研究能力を高める、場合によっては経営指導の権限の強化などは検討に値する。を考えてもよいのではないか。同様に学生支援機構などが奨学金の充実にもっと力をふるえるような検討があってもよい。設置基準、設置認可審査のあり方について問題意識を持っている。大綱化以降緩んだ状態で再整備が必要。設置認可審査も、準則主義化以来、質に関わる定性的な審査が弱まっている。審査ルールの再整備など質保証に資する見直しが必要。経営基盤に関して、地方の高等教育の火を消してはならない。地元を離れられない人もおり、地方の高等教育機会の確保、支援は国として必要。

    • 私学が高等教育の中に占めている学校数、学生数を考えると、私国公という考え方で議論すべき。制度そのものを、もう一度見直してよいのでないか。学問の府であった大学で、職業教育をやるということになっている。どうあるべきかについて、少し考えたらどうかと思っている。また、縦割りの議論が多いのではないか。設置形態を超えての連携がどういうふうにできるかということを考えないといけない。鳥瞰的に全体をみながら議論を進めたらよいのではないか。

    • 学問の重要性を再確認すべき。今の我々の物質的な豊かさは学問に由来している。新しい状況を自分で理解し、問題を解決できる、自分の頭で問題を考えることは、まさに学問することによって身につく学問の作法。私立大学は量の面に加え、質的な部分で多様性がある。私立大学の多様性が担保されるかが問題を考える上で留意する必要がある。議論する際にはファクトに基づいて議論すべき。経験的なものでなく、科学的、客観的事実に基づく必要がある。我々が観察しているものは事実とは限らない。

    • 財務センターなど大学を支援する法人が、仕分けで駄目という結果になって本当にそれでよいのかなと。どういう支援の体制があるのかということを検討できればよい。高専をいれた高等教育機関でコンソーシアムをつくって、いろいろな事業を一緒に動かしている。そうするとみんな元気になる。議論してできたものを実行に移していくということしていかないと、期待は非常に大きく、それに応えることができない。GPで非常に良くなってきた。なくなってどうなるかとも思っている。

    • 短大の立場としても発言させていただく。進学率の向上にともなって教員の数も増えてきた。教員の質という面で教育、学術的基盤というのも重要であるにも関わらず、各学校が審査を通して十分にやられているかというと、疑問である。基盤とすべき研究成果について各大学で見直していくべきでないか。教授会のありかたについては、学長が選挙で選ばれているという状態でいいのか。理事会がしっかり適材な方をえらぶ方が理にかなっているのではないか。

    • 国民や産業界と理解を深めていくということは最優先。産学官がどう連携していくのかが重要。就職活動はいろいろなところで議論されているが、知財についても活用をさらに議論していくべき。高専との関係では、シンガポール、マレーシア、インドや香港ではポリテクの割合が50%を超えていることも考える必要がある。

    • 統計の分野で国際的にホットな話題は、非市場型サービス、医療や教育の質の問題。学校であれば学生の能力をどれだけ高めたかがまずは図るべき指標とされている。学校レベルで教育サービスレベルを測定することが必要。公的統計を改革する、就職状況の調査を充実させるということが重要。事務局にも質の把握の状況というのを報告いただきたい。

    • 活力ある若者が育っていくような教育の質保証を考えていきたい。国に活力をあたえるイノベーションを大学から作っていくのかが重要。その中で学生の視点を忘れてはいけない。人間力を形成するという意味では課外活動も非常に重要。生涯教育の中での質の保証についても考えていく必要がある。機能別分化については、各大学がそれぞれ考え抜いて‘情報発信することが大切。単年度予算を超えた、学生支援という立場から経営基盤の強化を考えていただけるとありがたい。

    • 大学の質とは何かが最大の課題であり、学生が何を学んで、できるようになったかが最大の大学教育の目的。この切り替えが大切。大学が学位にもとづく学士課程プログラムをつくれるかどうか、FDにかかっていると思うが、非常に重要。学士課程教育の答申では、学士力という言葉を出した。その中身がどこまで各大学に伝わるか、普及させていくか。それぞれのミッションに応じた発信の仕方を今後十分に検討したい。基盤経費については、継続性のある予算の組み立てが重要。

    • 機能別分化については戦後すぐから繰り返し出ているテーマ。これまで必ずしも成功したとは言いがたい。設置基準の大綱化以来の流れで格差が拡大したことを評価していかなければならない。大学内部や国際的に格差が拡大しているということを評価していかなければならない。その中で連携が問われていると考えている。財政的な問題があり、その成果を示す必要がある。すでにいろいろなデータが示されているが、世の中にわかりやすく訴えるような形になっていない。非常にいい調査をやっておきながら、伝えられていない。教育統計局な部署が設けられていないことが問題。

    • 共通の理念、概念が理解されればもっと議論がすすむのではないか。CSTPでも教育となると議論がとまってしまう。国のすべての人を育てる、どう人をどういう風に育てるかは、社会を作っていくことと同じ。思想や価値観を振り返ることが大切。国際的にも自分の文化的バックグラウンドを持つということが大切。

    大学分科会(第95回)配付資料


    大学分科会委員名簿(平成23年2月21日現在