2011年5月30日月曜日

国立大学の機能強化(中間まとめ案)が見えてきました

現在、国立大学協会に置かれた「国立大学の機能強化に関する委員会」では、国立大学が果たすべき役割や特色等について第1期中期目標期間の検証を踏まえながら、今後の国立大学の機能強化のあり方についての検討が行われています。

(過去記事)国立大学の機能強化へ始動(2011年2月18日 大学サラリーマン日記)

このたび、以下のような「中間まとめ(案)」が取りまとめられ、先週末を期限として、各国立大学からの意見聴取が行われました。今後各大学からの意見等を踏まえ、6月初旬に開催される委員会及び理事会を経て、最終的な「中間まとめ」が決定されるようです。

意見聴取された案の段階のものですがご紹介します。


国立大学の機能強化 -国民への約束-(中間まとめ)(案)【抜粋】

国立大学協会は、国立大学がとりわけ責任をもって果たすべき役割や機能等について、第1期中期目標期間の検証を踏まえながら、それらの今後の国立大学の機能強化のあり方を検討してきた。本報告は、その中間まとめである。
各国立大学法人は、本「中間まとめ」を踏まえて、それぞれの個性・特色を最大限に活かした機能強化の速やかな実現に全力を挙げることを国民に約束し、その成果をもとに、ステークホルダーへの的確な情報発信と対話を通じて国立大学の教育研究への十分な理解と強い支持を得ることによって、日本の希望ある未来と世界の人々が希求する安定的で持続的な社会の構築を導く原動力として、中核的な役割を果たす。

1 はじめに -国立大学の責務と約束

わが国は、長期にわたる経済の停滞や財政構造の悪化、少子高齢化の進行など、活力の再生が求められる困難な課題を抱えている。これらに加え、20111年3月11日に宮城県沖で発生した巨大地震・津波とそれに伴って起きた福島第一原子力発電所の事故により重大な危機に直面し、すべての国民は一日でも早く安全で安心な生活を送ることのできる環境の構築を強く願っている。

この度の大震災を通して、自然に関する人類の知識とそれを活かす人の力は未だ不十分であることが痛感された。私たちは、地震・津波・火山噴火、あるいは異常気象などによる自然災害への備え、資源・エネルギー、食料の安全で安定的な確保、社会的インフラストラクチャーのあり方など、地球規模で解決していかなければならない多くの課題に直面している。

こうした課題は、同時に、洋の東西を問わず、すべての国の安全・安心の保障と持続可能社会構築のプロセスに直接影響する、現代社会の構造的課題でもある。世界各国は、日本が現下の困難をどのように克服するのか、そして日本は人類が新たな価値社会を建設する真のリーダーとなりうるのかを、固唾を飲んで見守っている。

国立大学は、わが国の知識基盤としての役割を担い、優れた人材の育成、先端研究の推進、地域への貢献などを通して、これまで日本の近代化、成長発展のために確固とした実績を残してきたと自負している。また、国民の生命を守る最後の砦として、このたびの地震と津波の発生直後から、全国の国立大学附属病院が連携して被災地において緊急医療活動を開始し、中長期的な計画的医療支援体制を整え支援にあたっている。このほか、国立大学の数多くの研究者が、都市計画や、通信や環境基盤等の再生と構築、超高齢化社会の持つ複合的課題への挑戦など、それぞれの専門分野を生かして、救援と復興のために被災地域で多様な活動を展開している。

この度の震災は、地震や津波に関する研究の更なる強化、原子力制御に関する基礎研究と安全工学の不退転の挑戦はもとより、放射線健康リスク制御研究や、化学、環境科学、社会学、経済学、政治学、あるいは心理学など諸科学の有機的連携が不可欠であることを強く示唆している。これまで国立大学は、科学技術化した現代社会においては、先端的な科学技術や自然科学の知見を日本の社会システムや地域社会のなかに適切に根づかせていくための人材の配置や環境整備が必須であること、そのために「文理融合」あるいは「学際的アプローチ」が喫緊の課題であり、人材育成が重要であることを折に触れて指摘し、挑戦を試みてきた。しかしながら、継続的な研究と人材育成を推進するための資金を欠き、環境を十全に構築できなかったこともあり、結果として「知の共同体」として国立大学がその力を存分に発揮しえなかった。このことを、国立大学として痛恨の思いで受けとめている。国立大学は、いま、知的立国の拠点として、そして次世代を担う優れた人材の育成機関として、改めておのれの責務の重さを痛感している。

わが国が直面しているこのきわめて厳しい困難を克服し、安全かつ安心な社会を構築するためには、社会のあらゆる分野において知の継続的な革新を図り、次世代を担う卓越した人材の育成を計画的に実現できる公的な教育研究組織を確実に整備し、維持することが不可欠である。

全国に満遍なく設置され、国と各地域の双方のレベルで日本の教育研究の高い水準を担保する国立大学の責務は、大震災という重大な危機のなかで、いよいよ重いものとなっている。国立大学にあっては、自らの責務を果たすために個々の大学が不退転の決意をもって邁進するとともに、相乗効果の高い多様な連携を可能にする「有機的な連携共同システム」として総力を結集し、日本の希望ある未来と世界の人々が希求する安定的で持続的な社会の構築を導く原動力として、教育研究機能の抜本的な強化を実現する覚悟である。

2 国立大学の公共的な役割

大学は、教育、学術研究、文化・芸術振興、地域貢献、国際貢献を通じて、わが国ならびに人類社会の持続的発展に寄与するという公共的な役割を担っている。政府が国立大学を設置・維持するのも、まさしくこの公共性に由来している。ふり返れば、日本の大学はその創設期以来、欧米の大学をモデルとしながら発展した後、学術研究において厳しい国際競争下で主導的な地位を築き、わが国の産業の発展と人材育成、地域の産業・文化社会振興においてきわめて重要な役割を果たしてきた。しかしながら、近年の世界的な大学間競争の激化のなかで、新たに急激な経済成長を遂げつつある国々における大学の躍進はめざましく、また、欧米諸国は財政的に困難ななかにあっても国の発展の基盤をなす大学への投資を着実に確保している。これと比べると、わが国の高等教育への公財政投資は長らく停滞もしくは削減傾向にあり、日本の大学の地位もあきらかに相対的低下の重大な危機にあると言わざるをえない。

この状況が続けば、わが国の人材育成機能と学術研究機能は急速に劣化し、急務である日本再生を不可能にすることはもちろん、継続的なイノベーションを必須とする国の活力の著しい衰退に繋がることは言うまでもない。

現代社会は「知識基盤社会」と称されるように、知識基盤を欠く国家はおよそ存続することができず、とりわけ、天然資源に乏しいわが国は、卓越した人材を国として責任をもって輩出する高等教育機関を持たないかぎり、自立した国家として生き延びる途はない。ここでいう「卓越した人材」とは、研ぎ澄まされた専門的な知識を身につけているのみならず、それらを活かした確かな社会的判断力を持ち、国境の無いボーダーレスな現代社会において指導的な役割を果たしうる幅広い教養と感性、忍耐強い行動力、豊かなコミュニケーション能力を備えた人材であり、国内においてはもちろんのこと、国際社会においても厚い信頼と尊敬を寄せられる人材のことである。

国立大学は、こうした次世代を担う卓越した人材の育成を中心となって担い、新たな知の継続的な創造拠点として国内外のイノベーションを先導し、国民の健康と医療と教育の維持充実を図り、地域社会の活性化や文化・芸術振興の中核拠点としての機能を更に強化することで、その公共的な役割を果たしていく。このことを国立大学は共通認識として共有し、その実現のために全力を傾注する。

3 国立大学として強化すべき機能 -ナショナルセンター機能とリージョナルセンター機能の強化

わが国の再生と持続的発展を実現するためには、全国に満遍なく設置されている国立大学が、何よりもそれぞれの個性と特色を明確にしながら、まずは、国際的な教育研究のネットワークの一員として、高度の教育研究とイノベーションの推進に中核的な役割を果たしているナショナルセンターとしての機能を徹底して強化しなければならない。そして同時に、地域の産業・経済活動、教育・文化・芸術活動、医療活動、歴史・文化の保存・伝承など、地域振興の全般にわたって地域社会に不可欠なリージョナルセンターとしての機能を抜本的に強化する必要がある。

そのために、国立大学は今後、第2期中期目標期間中に、下記に示した機能を重点的に強化すべく全力を挙げる。強化にあたっては特に、各大学のそれぞれの個性と特色を最大限に活かし、個々の大学において人的・物的リソースをもっとも効果的に活用できるような運営を行うとともに、相互に連携協力しながら、国立大学が一つの「有機的な連携共同システム」として総力を結集して、人類の課題に真正面から取り組んで、新たな学術知の創出を図り、わが国の再生と継続的な成長発展のために先頭に立って、危機対応も含めたあらゆる場面で国民の負託に応えていくことを社会的責務とし、共通の方針とする。

機能1 卓越した教育の実現と人材育成

国立大学は、教育の機会均等の保障機能を果たすとともに、国際的に高い水準を満たす教育を通じて、地域社会の指導的人材、国際社会で活躍する人材、高度専門職業人など、知性、感性、行動力に優れた「卓越した人材」の育成に対して責任をもつ。

国立大学の使命の実現と、後期中等教育との適切な接続を担う公共的制度としての入学者選抜制度を整え、それぞれが自らのアドミッション・ポリシーに基づいた個性ある入学者選抜を実施する。

また、教養教育及び専門教育の質を更に向上させるとともに、科学技術知と社会文化知の融合などに対する現代社会の要請も踏まえて、学士課程教育、大学院教育の抜本的な改革を行う。

  • 高等教育の機会均等を保障する体制の維持・拡充
  • 各大学のアドミッション・ポリシーに基づいた多様で個性的な入学者選抜制度の確立
  • 科学技術知と社会文化知の融合を図る教育の推進
  • 教養と国際的素養の涵養を重視する教育へのカリキュラム改編
  • 医療、法曹、教育、芸術等、専門分野で活躍する高い倫理観と使命感をもった人材の育成


機能2 学術研究の強力な推進

国立大学は、これまで世界最高水準の研究、着実な基礎研究、先導的・実験的な研究の実施等を通じ、多様な学問分野を網羅した学術研究に力を注いできた。このことにより、現在の日本の発展に貢献することができたが、今後さらに、人文・社会・自然諸科学等の学術研究の強力な推進と、それを担う研究者の育成に邁進する。

特に、国立大学が全体としてみれば一つの有機的な連携共同システムをなすという特性を活かして、国内はもちろん、国際的な学術研究のネットワークの更なる高機能化を図り、高度な研究とイノベーションの中核拠点としての機能を徹底的に強化し、世界の学術研究分野における日本の存在意義をこれまで以上に高める。

  • 知的創造の源泉となる基礎的・基盤的研究の蓄積
  • 持続的発展社会の創生のための先端研究、並びに文理融合型研究の推進
  • 人類社会の課題をよく理解し、課題解決に結びつく研究活動をバランスよくマネージできる人材の育成
  • 学術上の成果を専門外の人たちに的確に伝えることのできる能力をもつ人材の育成


機能3 地域振興の中核拠点としての貢献

地域の産業・経済活動、教育・文化・芸術活動、医療活動、歴史・文化の保存・伝承など、地域振興の全般にわたって地域社会に不可欠な競争力ある中核拠点機能を強化するとともに、それを担う人材の育成に対して、高等教育へのアクセス保障を含め、明確な責任をもつ。

  • 産学官が緊密に連携したイノベーションの推進と、教育や地域文化社会発展への貢献
  • 地域の高度医療、先端医療の砦としての附属病院の機能強化
  • 上記の地域振興を担う感性豊かで、高い専門性と幅広い視野をもった人材の育成


機能4 積極的な国際交流と国際貢献活動の推進

わが国が国際社会の一員として重要な役割を果たすためには、外国人研究者、留学生の積極的受入れによる人材育成、新興国の教育研究基盤形成支援と、それを担う人材の育成を推進することが不可欠である。これらを可能にする国際貢献活動と人材育成を強化し、強い国際競争力を実現する。

  • 国際貢献活動を推進できる環境整備と、国際貢献を担う専門性を有する人材の育成
  • 外国人研究者・留学生の積極的受入れと交流による国際的な人的・知的ネットワークの構築
  • 新興国の行政官、教員等、専門分野の人材育成と教育研究力の向上支援


4 機能強化のための方策

各国立大学は、それぞれの個性と特色をみずからの競争力の根幹として機能強化に全力を挙げるものとし、その際、とりわけ下記の諸方策を効果的に組み合わせて活用する。

方策1 各大学の個性・特色の明確化と不断の改革の実行

各国立大学は、設置以来の歴史と伝統、学問分野、規模、各々が重視する機能などの違いからそれぞれに個性・特色をもち、それを活かして地域や社会からの要請に応えるとともに、国際的に期待される役割を果たしてきた。今後は、各大学の存在意義と誇りをかけた自律的な判断に基づいて、それぞれの個性・特色をより一層明確にし、ミッション・ビジョンを明示して、大学の構成員が一丸となってその実現に向けて全力を尽くす体制を構築する。

同時に、未曾有の大震災と財政悪化の中にあって、限りある財源で引き続き国立大学の社会的使命を維持・発展させるために、これまで以上に各大学の個性・特色を踏まえた不断の改革の取組を促進し、機能強化を図る。

  • 大学の個性と特色の明確化
  • ミッション・ビジョンの設定と明示
  • 大学構成員によるミッション・ビジョンの共有と責任の自覚
  • 大学の個性・特色を発揮するための大学統治機能の強化


方策2 教育研究等に関する内部質保証システムの確立と質の向上

わが国の基幹的な教育研究機関としての役割を果たし、それぞれのミッション・ビジョンを実現するために、各大学は、PDCA(Plan・Do・Check・Action)サイクルを確立し、それを社会に広く可視化することを通じて、その特色を活かした教育力・研究力強化のための改革を行う。これにより、新しい学問の創造、社会における指導的人材の育成はもとより、教育・研究・社会貢献・国際貢献の面における強い競争力をもつ「質の向上」を実現して、その成果を社会に問う。

  • PDCAサイクルの確立
  • 社会的重要課題の解決への貢献をめざした各分野の叡智結集による新たな文理融合分野の教育研究体制の整備
  • 学問の発展を支える基礎研究の充実
  • それぞれのミッション・ビジョンを実現するための教育研究組織の構築
  • その他、教育力・研究力を強化する取組


方策3 厳格な自己評価と大学情報の積極的開示、及びステークホルダーに対する説明責任

責任ある自己評価の実施を徹底し、わが国はもちろん、国際社会に対しても情報公開を適切に行うことにより、公的資金によって運営している国立大学としての説明責任を果たす。

その際、教育活動、研究活動、社会貢献活動のいずれの活動においても、ステークホルダーが十分に理解することのできる、具体的成果に裏付けられた情報として発信する。

それぞれのミッション・ビジョンにのっとった教育研究や社会貢献の実績の可視化を確実に行う体制を整え、着実な発信を積み重ねることを通して、国内外のステークホルダーが国立大学の機能強化を支援することの意義と価値への理解を深めることのできる環境を実現する。

  • 自己評価や外部評価の確実な実施と国内外への発信体制の整備
  • ステークホルダーの特性に応じた大学情報発信体制の充実
  • その他、大学情報の発信力を強化する取組


方策4 国内外の教育研究機関との連携の推進

各大学は、国際水準の教育研究と地域のイノベーションをリードする運営基盤の一層の強化を図るために、ミッション・ビジョンの再構築も視野に入れながら、スケールメリットなど最も効果的・効率的に「質の向上」を実現する方策に留意しつつ、国境や都道府県の境界、あるいは設置形態を越えた大学間の積極的連携や、自治体等との協同等も強力に推進する。

  • 学部、大学院研究科の共同設置
  • コンソーシアム等地域の大学群の連携による取組
  • 大学附属病院と地域医療機関との連携を強化する取組
  • 海外大学とのダブルディグリー、ジョイントディグリー等の教育プログラムの構築
  • その他、大学間連携を強化する取組


方策5 大学運営の効率化・高度化の推進、及び外部資金の有効活用

大学の自治と学長を中心としたリーダーシップの確立により、意思決定の速度を上げ、各大学の個性あるミッション・ビジョンの速やかで確実な実現のために、国立大学の施設の共同利用や事務の共同運営、FD(Faculty Development)やSD(Staff Development)などの各種事業の共同実施等を更に積極的に推進するとともに、大学業務の効率化を徹底的に行う。また、役員や教職員の意識改革をいっそう推進し、その資質を計画的に高めていく。

外部資金の獲得やその有効利用を促進し、経営基盤の強化を図る。

  • 研究所、図書館、宿舎等大学資源の共同利用
  • 共同のFD、SDプログラムの実施
  • 事務処理等の共同化
  • 大学情報の一元管理とIR(Institutional Research)機能の整備による運営体制の強化
  • 国籍を問わない高度人材の役職員への登用など多様な人材交流の促進
  • 外部資金の獲得努力の強化
  • その他、大学運営の効率化・高度化を図る取組


5 機能強化を実現するために -政府への要請

要請1 日本の知の革新を担う国立大学の充実を

国立大学は、国の組織として、その発足以来、国や地域のイノベーションを支えるとともに、わが国の人材育成を体系的に担ってきた。わが国の現下の困難を克服し、日本の再生と安全の確保を図り、地域を活性化し、国の持続的安定的な発展を確実にかつ計画的に実現するためには、その基盤として、人と知恵の源泉であり、継続的な知の革新を中心的に担う国立大学が行う機能強化の努力を、政府があらゆる側面から全力で支えるべきである。

要請2 高等教育へのアクセス保障を

国立大学による教育の機会均等の実現を支援するため、国立大学の学生納付金については、授業料標準額を上げることなく、また、学部・分野別の差を設けない現在の方針を堅持することを求める。奨学金や授業料免除の一層の拡充を求める。

要請3 機能強化を促進するための様々な環境整備を

各大学による自主的な連携や共同運営、共同利用等の大学の機能強化に向けた積極的な取組を支援するため、大学の規模・学問分野や所在地域にも留意しつつ、必要な環境整備を進めることを求める。例えば、一層の連携促進のための制度の弾力化など、必ずしも設置形態にとらわれない制度的な支援、また、効率化の努力によって産み出された資源を予算の減額に導くのでなく、改善努力分として教育研究の更なる質の向上や将来の投資に充てることができる制度に改めることや、外部資金の導入を促進するような環境整備を行う必要がある。

要請4 評価システムの改善を

大学評価制度は、国立大学が自らの説明責任を果たすとともに、教育研究活動や大学運営の改善を進める上で重要な役割を果たしている。一方で、必要以上に詳細で画一的な目標・評価手法によって、目標・評価活動だけが自己目的化し、大学の教育研究活動に支障が生じ、大学運営の改善に必ずしも有効に活用されず、さらに国民にも大学の実態を十分に伝えられていないなどの課題がある。

各評価制度の意義・目的を踏まえつつ、大学の個性伸長・機能強化に真に資するとともに、大学関係者をはじめ国民に「見える」ものとなるよう、認証評価との関係を含め、目標・評価システムを評価機関等と協議、連携して抜本的に見直す必要がある。

要請5 財政基盤の安定化と財務システムの見直しを

各大学の自主的な機能強化の取組を積極的に評価し、継続的に支援するため、長期的視点からの国立大学法人運営費交付金を含めた継続的・安定的な財源の確保、教育研究力強化のための施設・設備の整備充実、機能強化を促進するための国公私を通じた支援の拡充や大学を支援する法人の強化など、大学の機能強化の努力を真に支える強力な政策を求める。

また、各大学の教育研究・社会貢献を更に高度化し、より実効性あるものとするために、国立大学法人運営費交付金の配分方法の改善、人件費等の弾力的な執行、大学の運営資金・資産の弾力的な運用、大学附属病院の経営基盤の強化など財務システムの見直しを求める。

6 国立大学協会として

国立大学協会は、各国立大学と協力し、国民をはじめステークホルダーの期待に応えるべく、国立大学にかかわる情報の収集とそれらの分析に基づく提言などを通じ、各国立大学の果たすべき機能の強化に向けた取組を促し、それぞれの自己改革の状況を公開する。特に、各国立大学が期待される役割を十全にかつ速やかに果たすことが出来るように、国立大学が全体として、一つの有機的な連携共同システムをなしているという観点からも、積極的に支援を行う。

同時に、特色を活かした存在感のある大学の創生と機能強化を促進するために、本協会は、第1期中期目標期間の検証を通じて掲げた課題を踏まえつつ、資源配分や中期目標、国立大学法人評価や認証評価などの評価システム、大学間連携、人事・給与等の処遇、予算執行、資産管理などに関する制度の柔軟性の拡大、入学者選抜制度の改善・改革などについて更なる検討を行い、政府や各国立大学に対し、制度や運用の見直しを強く求めていく。