2012年12月17日月曜日

我が国の教育投資を考える

文部科学省の中央教育審議会教育振興基本計画部会(第23回、11月16日開催)、同審議会大学分科会(第111回、11月27日開催)において、「教育投資の現状に関する考え方」という資料が配付され議論されています。

いずれも議事概要がまだ公表されていませんので、議論の内容を確認することはできませんが、財務省の財政制度等審議会・財政制度分科会により行われた「財政について聴く会」(文教・科学技術関係予算、平成24年11月1日開催)における議論に対する文部科学省の主張といった性格もあるのではないかと思います。

(過去記事) 国立大学の予算を考える(大学サラリーマン日記)




関連して、文部科学教育通信(No.305 2012年12月10日号)に掲載された記事「文科省教育投資の現状に関する考え方を公表」をご紹介します。

文部科学省はこのほど、教育投資の現状に関する考え方をとりまとめた。「教育投資総論」「教職員定数改善」「大学教育」の三つからまとめられており、総論では、「未来への投資」である教育投資が不可欠なことを、わが国の公財政支出の水準が国際的に低水準であることや、家計への教育費負担が著しく大きいこと、また少子化だからこそ一人一人の能力を高める「人材への投資」が必要になることなどから示している。





大学教育については、国際競争力を支える高度人材の育成のため、質量両面の充実が必要だと結論。

特に、わが国の大学では社会人や留学生の受け入れが少ないことや諸外国と比べて人口あたりの博士号・修士号取得者が少ないことなどから、生涯にわたる学習機会の確保や高等教育における多様性に課題がある。また、諸外国に比べてわが国の大学は、授業料は高く、奨学金の受給率が低い。家計の教育費負担の軽減や少子化対策の観点からも無利子奨学金を充実することが重要だ。

このような中で、私学助成については一般補助の傾斜配分を強化し、現状でも約10校に1校程度
は不交付となっているなど、メリハリある資源配分を行っている。また、国立大学については平成19年までに15校減り86大学になるなど再編統合が行われ、各大学においても人件費の削減や有期教員の採用を増やすなど効率化が進められている。しかし、社会経済の構造的変化の中、国立大学の機能を再構築の上、さらに強化することが必要だ。6月に公表した「大学改革実行プラン」に基づいて、すべての国立大学に対して「ミッションの再定義」を行い、社会や国民の期待に応えるよう、国立大学改革を推進したい考えだ。





11月16日に行われた教育振興基本計画部会(第23回)では教育投資について審議が行われ、高等教育関係では、委員から次のような意見があった。「三人の子どもを私立大学に通わせると大変な経済状態となる。こんなことが続いていたら、日本はやはり少子化になるのではないか」「問題は家計に占める高等教育費の負担率」「経済格差が学力や学歴の格差につながり、大学卒業後も困難な状態に陥る」「高等教育の教育費負担は、授業料のほか子どもを都会の大学に行かせることによる生活費への圧迫が非常に大きい」「誰もが所得にかかわらず、一定の学力があれば大学で学ぶことができる国にしていくことが重要」「大学生が勉強しないのは学生の問題ではなく教員の問題」「大学教育の質的転換を、大学教員の教育の質的転換として本格的にやっていかない限り、教育費の問題も砂上の楼閣になる」「ソフト面での見えない危機を見えるようにアピールしなければならない」。