2013年7月9日火曜日

大学のガバナンスの在り方について

中央教育審議会大学分科会組織運営部会において「大学のガバナンスの在り方」に関する議論が始まりました。

第一回(6月26日開催)の会議資料から主なものを抜粋してご紹介します。


資料5 第6期大学分科会におけるガバナンスに関する議論について

(総論)
  • ガバナンスの強化は、個々の大学ではなく大学全体のシステムとして確立することが必要。
  • 大学がガバナンスを発揮できない要因には、仕組みやシステムによるものとそうでないものがあるため、そこを掘り下げて考える必要がある。
  • ガバナンスの在り方は多様であり、特に私学については、一律的な仕組みを作ることについては慎重であるべき。一様なガバナンスからは、多様な教育研究は生まれてこない。
  • 大学は多様化しており、大規模校の中でもガバナンスがうまくいっている大学もあれば、単科大学でもうまくいっていない事例もあるので、具体的に要因を調べる必要がある。
  • 国内外の現状を調査しながら、実証的なエビデンスに基づいて結論を出すべき。その際、ガバナンスと教育研究上のパフォーマンスとの関係などについても分析すべき。

(学長のリーダーシップ)
  • 人事や予算を含め、学長がリーダーシップを発揮できる仕組みが必要。仕組みがないままに、リーダーシップの発揮を求めても仕方がない。
  • 国立大学は法人化により学長裁量が拡大したはずだったが、実際には法人化前と比べて変わっていない。それにも関わらず、学長のリーダーシップの発揮だけが求められている。
  • 学長・学部長がリーダーシップを発揮して方針を出したときに、その方針どおりに教員が活動しないときに、それに対する評価の仕組みも考えることが必要。
  • 学長や学部長のリーダーシップが強くなればよいというものではなく、教員が主体的に改革に参画することが必要。
  • 学長が交代して教育方針が大きく変わることがあるが、教育の継続性・安定性の面では問題。学長に権限を集中させれば良いというものではない。
  • 組織の詳細も重要だが、大学のミッションを明確にし、それを実現できる人に任務を与えるのが大学のマネジメントの原点ではないか。
  • アメリカやフランスにおいても、学長と各部局の緊張関係が見られる。

(学長の補佐体制)
  • アメリカのOffice of Presidentのように、学長のサポート体制の充実をどのようにしていくかを考えなければならない。
  • 学長、学長の補佐機構、学部長、教授会などそれぞれの権限について考えるべき。

(学長の選考・任期)
  • ガバナンスを考えていく上でのポイントは、学長や学部長の選考の仕方に尽きるのではないか。
  • 学長も学部長も事実上、教員による選挙で選ばれているため、大学や学部の最高執行責任者である学長や学部長の権限もあまり強くない。
  • 学長の任期制に妥当性があるのか疑問。例えば、任期の残り1年になると学長の言うことを聞いてもらえないといったこともある。

(学部長)
  • 学部長が教授会において選挙で選ばれている中で、どのような権限があるのかについては非常に不透明であり、雑用に追われることになっている。
  • 学部長選挙を廃止して、学長が学部長を任命できるようにするべき。

(教授会)
  • 教授会は本来教学に関する重要事項について審議する機関であるのに、実態は経営的な事項にも日常的に関与しており、組織決定の迅速性を欠くこととなっている。
  • 教授会の権限の内容や位置付け(審議機関なのか議決機関なのか)といったことまで踏み込んで考えるべき。

(理事会)
  • 実質的な最高意思決定機関としての理事会の経営・監督機能の強化のため、学長選挙を廃し、理事会が直接学長を任命する必要があるのではないか。
  • 理事会は、学長に大学内における人事・予算権限を付与するべき。

(監事)
  • 大学運営の適正性をチェックするため、監事の機能を強化すべき。
  • 監事機能など管理監督を強化しただけでガバナンスが強化されるというものではない。

(その他)
  • ガバナンス改革ありきで考えるのではなく、各大学が評価を受ける中で、自らのガバナンスのあり方を見直していくことが本来の姿ではないか。
  • 大学が自らの教育研究パフォーマンスを評価していかない限り、ガバナンスを具体化することはできない。
  • 評価のフィードバックを全学的に行うべき。評価の結果を踏まえて、大学全体でどのように改善していくか考えることが必要。


5 大学のガバナンス改革、財政基盤の確立により経営基盤を強化する。

上記に述べた提言の実現は、各大学が学内で意思決定し、改革に踏み出すかどうかにかかっています。意欲ある学長がリーダーシップを発揮して果敢に改革を進められるよう、大学のガバナンス改革を進めるとともに、改革を進める大学には官民が財政面の支援をしっかり行うことにより、経営基盤を強化する必要があります。

○国は、国立大学の強みや特色、社会的役割等を明確化しつつ、国立大学全体の将来構想を取りまとめた上で改革工程を平成25年夏を目途に策定し、それを踏まえた取組を促進する。また、国立大学は、年俸制の本格導入や学外機関との混合給与の導入などの人事給与システムの見直し、国立大学運営費交付金の学内における戦略的・重点的配分、学内の資源配分の可視化に直ちに着手し、今後3年間で大胆かつ先駆的な改革を進める。これらの取組を踏まえ、国は、教育や研究活動等の成果に基づく新たな評価指標を確立し、第3期中期目標期間(平成28年度以降)は、国立大学運営費交付金の在り方を抜本的に見直す。

○国や大学は、各大学の経営上の特色を踏まえ、学長・大学本部の独自の予算の確保、学長を補佐する執行部・本部の役職員の強化など、学長が全学的なリーダーシップをとれる体制の整備を進める。学長の選考方法等の在り方も検討する。また、教授会の役割を明確化するとともに、部局長の職務や理事会・役員会の機能の見直し、監事の業務監査機能の強化等について、学校教育法等の法令改正の検討や学内規定の見直しも含め、抜本的なガバナンス改革を行う。

○国は、国立大学運営費交付金・施設整備費補助金や私学助成、公立大学への財政措置など財政基盤の確立を図りつつ、基盤的経費について一層メリハリある配分を行う。その際、教育、研究、大学運営、社会活動等の幅広い観点からの教員評価や能力向上など、教員の力量を発揮させる改革を行う大学が評価されるような配分を検討する。また、大学等に配分される国の公募型資金について、全学的な共通インフラや教育・研究支援人材確保のための経費(間接経費)を設定し、直接経費を確保しつつ、間接経費比率を30%措置するよう努めるとともに、その効果的な活用を図る。あわせて、教育基盤強化に資する寄附の拡充や民間資金の自主的調達のため、税制面の検討を含めた環境整備を進める。

○我が国の高等教育の大部分を担っている私立大学が、多彩で質の高い教育を展開するとともに、グローバルな視野を持つ地域人材の育成や、飛躍的に増大する社会人の学び直しに積極的に対応できるよう、国は、財政基盤の確立を図る。その際、建学の精神に基づく教育の質向上、地域の人づくりと発展を支える大学づくり、産業界や他大学と連携した教育研究の活性化等の全学的教育改革を更に重点的に支援する。また、大学設置基準等の明確化や大学設置審査の高度化、必要な経営指導・支援や改善見込みがない場合の対応など、大学教育の質を一層保証する総合的な仕組みを構築する。

○国は、教育研究現場の実態を踏まえ、研究者等のキャリアパス、大学における人事労務管理の在り方など本年4月から施行された改正労働契約法をめぐる課題に関し、教育研究の継続性、若手研究者の人材育成、研究者の流動性の確保、研究支援人材の着実な確保等のための仕組みを検討する。

○我が国にとって、大学力が現在及び将来の国力を支えるものであることを踏まえ、大学の学長、都道府県知事、産業界の代表等から構成される内閣総理大臣主催の「大学将来構想サミット」(仮称)を定期的に開催し、社会総がかりで大学の機能強化に取り組む。


【骨太方針】(平成25年6月14日閣議決定)

第2章 強い日本、強い経済、豊かで安全・安心な生活の実現

3 教育等を通じた能力・個性を発揮するための基盤強化

(1)教育再生の推進と文化・スポーツの振興

意欲と能力に富む若者の留学環境の整備や大学の国際化によるグローバル化等に対応する人材力の強化や高度外国人材の活用、ガバナンスの強化による大学改革とその教育研究基盤の確立を通じた教育研究の活性化など、未来への飛躍を実現する人材の養成を行う。


【日本再興戦略-Japan is BACK-】(平成25年6月14日閣議決定)

6 大学改革

○大学改革を支える基盤強化

・教授会の役割を明確化するとともに、部局長の職務や理事会・役員会の機能の見直し、監事の業務監査機能強化等について、学校教育法等の法令改正の検討や学内規定の見直しを含め、抜本的なガバナンス改革を行うこととし、所要の法案を次期通常国会に提出する。


【教育振興基本計画】(平成25年6月14日閣議決定)

基本施策26 大学におけるガバナンス機能の強化

【基本的考え方】

○各大学が学生・地域・社会のニーズに沿った質の高い大学教育を行うために、学長や理事長のリーダーシップの確立に向けた環境整備や、評価に基づく資源の再配分等の大学・学校法人のガバナンス機能の強化に向けた必要な支援を実施する。

【主な取組】

26-1 大学におけるガバナンス機能の強化

・各国立大学が、学生・地域・社会からのニーズに応じた質の高い教育研究活動を行うことができるよう、学長のリーダーシップの発揮等による適切な意思決定を可能とする組織運営の確立、基盤的経費の一層のメリハリある配分等を通じ、ガバナンス機能の強化を図る。

・各公立大学が、設置理念に基づいた学生・地域・社会のニーズに応じた質の高い教育研究活動に取り組むことができるように、設置者、理事長・学長がリーダーシップを発揮して運営組織の確立、ガバナンス機能の強化を図る。

・各私立大学が、学生・地域・社会のニーズを十分に把握した上で、建学の精神・私学の特色を生かした質の高い教育研究等に取り組むことができるように、各私立大学・学校法人に応じた適切な意思決定を可能とする組織運営の確立、教育研究の状況や財務情報等の積極的な公開の促進、財政基盤の確立と基盤的経費等の一層のメリハリある配分を行うことで、私立大学におけるガバナンス機能の強化を図る。

・これらの取組を推進するため、必要な法令改正等の措置を行う。また、学長が全学的な視点に立ってリーダーシップを発揮し、大学改革を強力に推進しやすくする観点からも、全学的な戦略に基づく学内資源の再配分を促す資金配分の在り方を検討する。


資料7 大学のガバナンスに関する主な答申・制度改正の経緯

平成10年10月 大学審議会「21世紀の大学像と今後の改革方策について」答申

学長を中心とする大学執行部、評議会等の全学的な審議機関、学部長、学部教授会等が、それぞれの機能分担を明確にした上で、学内において意見聴取や説明を十分に行い、それぞれの連携協力の下で質の高い意思決定を行い得るような基本的な枠組みの整備が必要。(参考1)

○平成11年4月 国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本的計画(閣議決定)

国立大学の独立行政法人化については、大学の自主性を尊重しつつ、大学改革の一環として検討し、平成15年までに結論を得る。

○平成11年5月 国立学校設置法を改正

国立大学が社会的存在として責任ある組織運営を行い得るよう、国立大学の組織運営体制の改革を実施。具体的には、評議会と教授会との役割分担を明確化するとともに、大学の将来計画などのような大学運営に関する重要事項について外部有識者の意見を取り入れるため、各国立大学に新たに運営諮問会議を設置。(参考2)

○平成12年12月 行政改革大綱(閣議決定)

国における独立行政法人化の実施状況等を踏まえて、独立行政法人制度についての地方への導入を検討する。

○平成14年3月 国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議『新しい「国立大学法人」像について』

学長・学部長を中心とするダイナミックで機動的な運営体制の確立等の法人化の在り方について報告。

○平成16年4月 国立大学法人、公立大学法人が発足

国立大学法人は、「役員会」制の導入によりトップマネジメントを実現 。「経営協議会」を置き、全学的観点から資源を最大限活用した経営の実現を目指す。(参考3)

公立大学法人は、地方独立行政法人制度において、大学における教育研究の特性に配慮した規定を設けたもの。具体的な組織運営等は、地方公共団体の裁量に委ねる弾力的な制度設計とした。(参考4)
※法人化された大学では、教育公務員特例法の適用から外れた。(参考5)

○平成17年 私立学校法を改正

理事、監事、評議員会の機能強化により、学校法人の管理運営体制を改善(参考6)


(参考1)

(1)責任ある運営体制の確立

 2)学内の機能分担の明確化

大学が一体的・機能的に運営され、また、教員が教育研究に専念できる体制を作るため、学内の機能分担を明確にした上で、学内において意見聴取や説明を十分行い、それぞれの連携協力の下で質の高い意思決定を行い得るような基本的な枠組みを整備することが必要である。
このため、学内の意思決定に関する基本的な枠組みとして、大学の運営と教育研究に関する機能分担と連携協力の関係を明らかにするという観点から、学長を中心とする大学執行部の機能、全学と学部の各機関の機能、執行機関と審議機関との分担と連携の関係、審議機関の運営の基本、事務組織と教員組織の連携の在り方等を明確化する必要がある。

(ア)全学の意思決定の基本的な枠組み

 (a)大学は、教育研究活動を進め、その水準の向上を目指す自律的な機関である。我が国の大学が、教育研究の各場面で飛躍的な充実を遂げ、社会からの理解と支持を得るためには、それぞれの大学が、一個の教育研究機関として一体的・機能的に運営されることが必要である。
また、現在、多くの大学において、教授等が学内の各種会議に大変多くの時間を取られ、本務である教育研究活動の遂行に大きな支障を生じているとの指摘が数多くある。教学組織内における意思決定機能の分担と連携の関係を明確化するとともに、専門的業務や事務執行を事務組織に任せることによって教員の教育研究に当てる時間を確保し、教育研究に専念できる体制を作ることも重要である。

 (b)このため、学長を中心とする大学執行部、評議会等の全学的な審議機関、学部長、学部の教授会等が、それぞれの機能分担を明確にした上で、学内において意見聴取や説明を十分に行い、それぞれの連携協力の下で質の高い意思決定を行い得るような基本的な枠組みを整備することが必要である。

その際、大学により様々な工夫の余地はあるが、学長等の執行機関が、学内のコンピュータネットワークやホームページ、広報誌の活用、若手やベテランなど各年代の教員との懇談などを通じ、大学運営の諸問題について、広く教職員の意見を聞くとともに、学長等の考え方を十分説明することが必要である。

また、学生は、教員等とは立場が異なるが、特に教育内容や学習環境などの関係の深い事項については、学習する側の立場の意見が重要であり、授業評価やアンケート調査などを通じ、広く学生の意向を把握するよう努める必要がある。

 (c)学内の意思決定に関する基本的な枠組みとして、大学の運営と教育研究に関する機能分担と連携協力の関係を明らかにするという観点から、学長を中心とする大学執行部の機能、全学と学部の各機関の機能、執行機関と審議機関の分担と連携の関係、審議機関の運営の基本、事務組織と教員組織の連携の在り方等を明確化する必要がある。

②全学と学部の各機関の機能

評議会等と学部教授会のそれぞれの機能については、評議会は、大学としての教育課程編成の基本方針の策定、全学的教育に関する教育課程の編成などを含め、大学運営に関する重要事項について審議する機能を担うこととする。学部教授会は、学部の教育課程の編成などの学部の教育研究に関する重要事項について審議する機能を担うこととする。このように、それぞれの基本的な機能を明確化することが必要である。

学長や学部長(執行機関)と評議会等や学部教授会(審議機関)との関係については、審議機関は学部の教育研究あるいは大学運営の重要事項について基本方針を審議することとする。執行機関は企画立案や調整を行うとともに、重要事項については審議機関の意見を聞きつつ最終的には自らの判断と責任で運営を行うこととする。このように、機能分担と連携協力の関係の基本を明確化することが必要である。

審議機関については、学長や学部長が議長として議案の発議や議事の整理を行うこと、事柄に応じ必要な場合には多数決で議事を決することなど、審議の基本的な手続きを明確化することが必要である。

なお、各審議機関が必ず審議すべき事項等については、法制度上の明確化を図る方向でその整理について検討することが適当である。

(ア)学部教授会

教授会については、学校教育法において、「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。」と定められている。

学部教授会については、国公立大学の教員等の人事に関する規定を除けば法令の規定が簡潔であるために、実際の審議事項が多くなりすぎたり、本来執行機関が行うべき大学運営に関する事項や執行の細目にわたる事項についても、学部教授会の審議や了解を得なければならないといったような運用が行われている場合が見受けられる。

④学校法人の理事会と教学組織との関係

学校法人理事会と大学の教学組織との機能分担と連携協力の在り方については、教学組織における学長、教授会等の役割や機能を明確化するほか、両者の連携・意思疎通を十分に行うため、理事会の構成の工夫、あるいは理事会と教学組織の代表者との合同会議を設置するなどの方向で、改善を図ることが適当である。

(イ)学校法人理事会と教学組織との関係

 (a)学校法人の理事会と大学の教学組織との関係を明確化するためには、まず、教学組織内部における学長、教授会等の機能分担を明確化することが重要である。学内における機能の分担と連携の関係が整理されることによって、設置者と大学の各組織の協働関係が機能するものと考えられる。

 (b)大学によっては、設置者が決定すべき予算などの学校法人経営に関する事項についてまで教学組織の審議機関が具体的に審議決定し、設置者の裁量を事実上制約している例が見受けられる。

設置者は予算や定員などの学校法人経営に関する事項についても、教学組織の意見を聞くことは大切なことであるが、教学組織の役割は、理事会の構成員として参加している場合は別として、飽くまでも教育研究上の観点から、予算に関する方針について意見を述べるにとどまるものである。

 (c)学校法人の設立目的は、建学の精神に基づき大学を設置運営することであり、より良き教育研究を実現するためである。本来、理事会と教学組織は、共通の目的の実現のために役割分担をするものであり、こうした両者の基本的な関係を相互に理解した上で意思疎通を十分に図っていくことが大切である。

学校法人の理事会と教学組織との間の意思疎通を十分に行うためには、例えば、教学側に配慮した理事会の構成の工夫、あるいは理事会と教学組織の代表者との合同会議の設置、理事会側が経営方針や経営上の課題を教学組織に説明したりする努力をすることなどの工夫を行う方向で改善を図ることが適当である。

資料8 検討に際しての論点(例)

【学長のリーダーシップの確立】

○リーダーシップを発揮できる補佐体制の充実

・副学長や学長補佐、学部長、専門的な支援スタッフなど、学長の補佐体制を充実していく上で、どのような課題があるか。限られたリソースの中で、補佐体制の充実を進めていくためには、どのような方策が考えられるか。

○予算に関する学長の権限

・学長が、従来の予算配分にとらわれず、大学として重視する分野や着実な研究業績が出されている分野などに、メリハリのある資源配分を進めていく上での課題と、考えられる対応策はどのようなものか。

○教員人事に関する学長の権限

・学長が、優れた教員を積極的に登用するなど、メリハリのある人事を行っていくためには、どのような課題があるか。また、そうした課題にどう対応していったらよいか。

・高い専門性が求められる教員の人事については、各分野に専門的知見を有する教員組織の意見を、どのように考慮すべきか。

○学長の選考方法

・学長としての適格性を十分に考慮するためには、どのような選考方法が適当か。また、選考に際しては、教員組織や評議員会などの意向を、どのように考えるべきか。

【学内組織の運営・連携体制の整備】

○学部長の役割・選考方法

・全学的な方針の下で、それぞれの学部の「校務をつかさどる」学部長に求められるのは、どのような役割か。

・学部長としての適格性を十分に考慮することができる選考方法はどのようなものか。また、選考に際しては、学部教員組織や評議員会などの意向をどのように考えるべきか。

○教授会の役割

・各分野の専門家から構成される教授会は、どのような役割を果たすべきか。

・学長の意向と学部教授会の意向が異なる場合において、学長が適切にリーダーシップを発揮していくためには、どのような調整メカニズムが必要か。

○理事会や役員会の機能見直し

・学長のリーダーシップの下、各大学教育研究について最大限の成果を発揮できるよう、理事会や役員会の機能を改めて見直していくべきではないか。

○監事による監査機能の見直し

・監事が、教育研究に関する状況など、業務監査を含めて、その役割を効果的に発揮していくためには、その機能についてどのように見直していくべきか。

【大学の自律的改革サイクルの確立、各大学のガバナンス改革に対する支援】

○大学による自律的改革の推進

・大学が自律的にガバナンス改革を進めていくため、大学団体や教員団体等にどのような役割・機能が期待されるか。(例:米国では、大学教員協会や大学理事協会などの団体が、大学のガバナンスに関する権限、責任の在り方についての基本的な考え方を示している)

○国等による支援

・国の予算事業等において、大学の自律的なガバナンス改革を促すために、どのような支援が考えられるか。(例:補助事業の要件として、一部の部局だけでなく、全学的な取組であることの明確化を求めるなど、ガバナンス改革を間接的に支援)

<検討にあたって留意すべき観点(例)>

(大学の多様性・主体性)

国公私の設置主体ごとの制度的違い、規模や伝統の違い、総合大学と単科大学の違い、評議員会などの役割の違い、理事長と学長との兼務状況など、各大学はそれぞれ置かれている状況の中で、主体的に活動している。ガバナンスを議論する上では、こうした大学の多様性・主体性を十分に踏まえた検討が必要ではないか。

(国際的な大学制度との比較)

ガバナンスを議論するに際して、大学制度が国際的な共通理解に立脚していることに鑑みて、諸外国の大学制度との比較・均衡の視点に留意すべきではないか。