2014年7月5日土曜日

もうひとつの幸せ

ブログ「今日の言葉」から生きる目的」(2014-06-30)をご紹介します。


人間が生きる目的は、「喜ばれる存在」になること。

他人と競ったり、比べたり、争ったりして、

「1位」になるためにあるのではない。

小林 正観(せいかん)


私には「知的障害」を抱えた長女がいます。

彼女は、普通の子どもよりも筋力が足りないため、速く走ることができません。

運動会の徒競走に出ると、1位はおろか、2位になることも、3位になることもありません。

いつも「ビリ」でした。

忘れもしません。彼女が小学校6年生のときです。

運動会の前に足を捻挫してしまった友だちがいました。

長女はその友だちと一緒に走ることになっていたため、友だちには悪いのですが・・・、

「はじめてビリじゃないかもしれない」と妻は期待していたようです。

運動会を終え、妻はいつも以上にニコニコしながら帰ってきました。

長女がビリから抜け出したのかと思いきや、「今回も、やはりビリだった」というのです。

ところが妻は、今回もビリだったことを嘆くどころか、ニコニコと嬉しそうにしていました。

徒競走がはじまると、長女は足を捻挫した友だちのことを何度も振り返り、気にかけながら走っていたそうです。

自分がゴールすることよりも、自分がビリから抜け出すことよりも、怪我をした友だちのことが心配だったのでしょう。

友だちは足をかばうあまり、転んでしまいました。

すると長女は走るのをやめ、友だちのもとに駆け寄り、手を引き、起き上がらせ、二人で一緒に走り出したそうです。

二人の姿をみて、生徒も、父兄も、二人に大きな声援を送りました。

そしていよいよゴールのとき、長女は、友だちの肩をポンと押して、自分より先に友だちをゴールさせたというのです。


著者 : 小林正観
ダイヤモンド社
発売日 : 2010-01-16