2016年12月4日日曜日

指定国立大学の公募が始まりました

国立大学法人法の一部を改正する法律(平成28年法律第38号)により創設される指定国立大学法人の公募が始まりました。

申請要件として、「研究力」「社会との連携」「国際協働」の3つの領域において、それぞれ1つ以上の要件の国内10位以内に位置した国立大学法人であることが求められています。申請可能な大学はかなり限られてくるようです。

第6期中期目標期間における指定国立大学法人の指定に関する公募要領

1 指定の背景及び目的

大学は、我が国の成長を支える「知」の創出と人材育成を担うべきものです。特に国立大学においては、その設置形態、歴史的経緯と蓄積に鑑み、世界の大学がそれぞれの国と世界を支えるために展開している新しい価値創造の在り方を踏まえた上で、国際競争と国際協調の観点から、我が国のみならず世界が抱える課題に真摯に向き合い、新たな社会・経済システム等の提案が可能な国立大学へと更なる変革を進めていくことが求められています。また、その成果を社会に還元することを通じて、社会からの評価と支援を得るという好循環を形成することにより、「知の創出機能」を持続的に発展させていくことにつながります。

これらの「知」の創出の場面においては、人文・社会・自然科学の各分野におけるそれぞれの強みが発揮されることも重要ですが、今日、学術及び社会が急速に高度化する中で、分野融合や新領域開拓による新たな価値創造と、それを生かした人材育成が要となります。

とりわけ、世界最高水準の卓越した教育研究活動を展開し国際的な拠点となる国立大学が、組織全体でこうした課題に取り組むことにより、国際的な研究・人材育成及び知の協創拠点として、当該大学の研究力、人材育成力の強化につながるとともに、我が国の成長とイノベーションの創出につながるものです。

以上のミッションを背負う大学については、「指定国立大学法人」として文部科学大臣が指定をし、大学自らのイニシアティブの中で、高等教育全体とその改革を牽引し、以下の役割を果たしていくことを期待します。

2 指定に当たっての考え方

指定に当たっては、優秀な人材を引きつけ、研究力の強化を図り、社会からの評価と支援を得るという好循環を実現する戦略性と実効性を持った取組を提示でき、かつ自らが定める期間の中で、確実な実行を行いうる大学に限り指定することとします。指定国立大学法人に申請する大学は、現在の人的・物的リソースの分析と、今後想定される経済的・社会的環境の変化を踏まえ、大学の将来構想とその構想を実現するための道筋及び必要な期間を明確化することが求められます。また、指定された大学には、社会や経済の発展に与えた影響と取組の具体的成果を積極的に発信し、国立大学改革の推進役としての役割を果たすことが期待されます。

3 指定国立大学法人の指定に係る申請要件

指定国立大学法人に申請する大学は、国内の競争環境の枠組みから出て、国際的な競争環境の中で、世界の有力大学と伍していくことを求めることとしています。このため、「研究力」、「社会との連携」、「国際協働」の3つの領域において、既に国内最高水準に位置していることを確認することとし、それぞれの領域において別紙に示す要件を満たしていることを申請の要件とします。また、申請要件において確認した各大学の現状については審査においても活用します。

4 指定国立大学法人の構想における審査の対象となる観点

(1)目標を設定する前提となる自己分析及ぴ現状に対する自己評価

当該大学の強みや特色等をどのように把握し、何を伸長させようとし、何を改善しようとしているのかが整理されているかを確認します。

(2)目標設定

海外大学における具体的な取組や、海外大学の研究分野別の状況などを踏まえたベンチマークを活用し、目標を設定します。この点を踏まえて、以下を確認します。

○分野融合や新たな学問分野の創出を含め、教育及び研究の卓越性に関して、「国際的な研究・人材育成拠点」となるための意欲的かつ戦略的な目標が設定されているか。

○世界及び我が国が抱える課題に対応するため、社会・経済に関する新たなシステムの変革への貢献に関して、意欲的かつ戦略的な目標が設定されているか。

(3)備えるべき要素

以下の6点について、必要な取組や目標設定がなされているかを確認します。

○人材育成・獲得
優秀な教員や学生を獲得するために必要な取組及び目標が設定されているか。優れた人材育成を行うために必要な取組及び目標が設定されているか。その際、優秀な博士課程学生の獲得及び育成のために、卓越した大学院を形成することを検討している場合には、その内容を含むことも可能。

○研究力強化
分野融合や新たな学問分野の創出を含めて研究力を強化し、国内外からの求心力を高め、強力な拠点(ハブ)を形成するために必要な取組及び目標が設定されているか。

○国際協働
海外大学や海外機関等との連携により、自らの教育研究分野の伸長や、海外への協力・貢献を行うために必要な取組及び目標が設定されているか。

○社会との連携
本格的な産学連携を含めて教育及び研究の成果を社会に還元するために必要な取組及び目標が設定されているか。産学連携の取組及び目標については、「産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン」の内容を踏まえたものになっているか。

○ガバナンスの強化
目標及び上記の取組を実行するための取組や、人材育成を含めた組織体制の整備、経営上の工夫が設定されているか。

○財務基盤の強化
目標及び上記の取組を実行するために必要な財源の特定及び確保ができているか。
(スタートアップ経費が措置された場合を想定して、それも合わせて財源とする構想にすることも可能です。)

(4)海外大学のベンチマーク

上記の目標設定及び取組の設定にあたっては、当該大学が参考とすべき海外大学の取組や特徴が特定され、その海外大学が掲げる目標や行っている取組を踏まえたものになっているかを確認します。

(5)現時点では認められていない規制緩和が行われた場合に追加的に行うことが想定される取組

指定国立大学法人の構想を策定するにあたり、現時点では認められていない規制緩和が行われた場合、さらに進めることが可能な取組が想定される場合は、さらなる規制緩和の内容と想定される取組の内容を併せて提言してください。

5 選定方法等

(1)審査手順

指定国立大学法人を指定するための審査は、国立大学法人評価委員会に設置する指定国立大学法人部会において行い、文部科学大臣は国立大学法人評価委員会の意見を聴いて指定を行います。

審査は、提出された申請書類による「書面審査」、「ヒアリング審査」及び「現地視察」により行います。

なお、本審査に係るヒアリング審査及び現地視察は、概ね5月~6月頃に行われる予定です。指定結果の通知は夏頃に行う予定です。

(2)指定国立大学法人部会による意見等

指定にあたっては、ヒアリング審査の際に指定国立大学法人部会の委員との意見交換を行っていただく中で構想の改善のための意見をお伝えしたり、指定する際の条件として構想の改善を求めたりする場合があることを申し添えます。

6 中期目標・中期計画の変更及び評価

4.に掲げる目標、備えるべき要素については、第3期中期目標期間終了時における到達水準や到達すべき状態を中期目標及び中期計画に盛り込む必要があるため、本指定への申請と併せて、中期目標友び中期計画の変更案を提出してください。指定された指定国立大学法人は、これまでと同様、国立大学法人評価委員会で行われてきた年度評価及び中期目標期間評価の対象となりますが、指定国立大学法人としての目標や取組に係る中期目標及び中期計画については、国立大学法人評価委員会において、「戦略性が高く意欲的な目標・計画」として認定されることにより、中期目標及び中期計画に対する達成状況のみでなく、プロセスや取組の内容・成果についても併せて評価されることが考えられます。

7 提出書類

本指定への申請は、文部科学省への申請書類を紙及び電子ファイル(PDF以外形式)により提出することが必要です。詳細は以下のとおりです。

(1)申請書類

申請にあたっては、指定国立大学法人制度の趣旨を十分に踏まえて、指定国立大学法人構想調書を含む以下の申請書類を所定の様式で作成し、大学の設置者から文部科学大臣宛に公文書により申請してくだきい。なお、中期目標・中期計画の変更案については、提出すべき様式を後日お送りします。
・構想調書:本体(A4 15枚以内)
・構想調書:要約版
・中期目標・中期計画の変更案
・ヒアリング用資料(パワーポイント資料を想定)
※使用言語:日英

(2)提出期限・提出先

提出期限:平成29年3月31日
※但し、ヒアリング用資料については、ヒアリングの日程と併せて後日提出期限をお知らせします。
提出先:文部科学省高等教育局国立大学法人支援課法規係

8 情報の公表について

法人名については、各法人からの申請の段階及び指定が行われた段階で公表します。構想については、中期目標・中期計画の変更という形で文部科学省公式ウェブサイトにおいて公表します。併せて、指定される国立大学法人については、指定の公表の段階において、公表用の構想の概要の提出を依頼しますので、予めご準備ください。

9 スケジュール

平成28年11月30日 公募開始
平成29年3月31日 各大学からの申請〆切
4月~ 国立大学法人評価委員会指定国立大学法人部会における指定についての審査(5月以降にヒアリング審査及び現地視察)
夏頃 指定国立大学法人の指定

10 問い合わせ先(略)


別紙 申請要件

下記のく研究力>、<社会との連携>、<国際協働>の3つの領域において、それぞれ1つ以上の要件の国内10位以内に位置した国立大学法人であること。

<研究力>

○科学研究費助成事業における分野単位(※)で2分野以上、2012~2016年度における新規採択件数の累計が国内10位以内。
(※)情報学、環境学、複合領域、総合人文社会、人文学、社会科学、総合理工、数物系科学、化学、工学、総合生物、生物学、農学、医歯薬学の14分野
(出典)文部科学省HP「平成28年度科学研究費助成事業の配分について」より

○Q値(論文に占めるトップ10%補正論文数の割合)(2009年~2013年)が国内10位以内。(参考値10.9%以上)
(出典)科学技術・学術政策研究所、調査資料-243、研究論文に着目した日本の大学ベンチマーキング2015(2015年12月)

<社会との連携>

○経常収益に対する受託・共同研究収益の割合の2011~2015年度の平均値が国内10位以内。(参考値9.0%以上)
(出典)経常収益:各国立大学法人の財務諸表(平成23~27年度)より。受託・共同研究収益:各国立大学法人の財務諸表(平成23~27年度)より

○経常収益に対する寄附金収益の割合の2011~2015年度の平均値が国内10位以内。(参考値2.6%以上)
(出典)経常収益:各国立大学法人の財務諸表(平成23~27年度)より。寄附金収益:各国立大学法人の財務諸表(平成23~27年度)より

○経常収益に対する特許権実施等収入の割合の2010~2014年度の平均値が国内10位以内。(参考値0.05%以上)
(出典)経常収益:各国立大学法人の財務諸表(平成22~26年度)より。特許権実施等収入:文部科学省HP「大学等における産学連携等実施状況について(平成22~26年度)」より

<国際協働>

○国際共著論文比率の1999~2013年の平均値が国内10位以内。(参考値25%以上)
(出典)科学技術・学術政策研究所、調査資料-243、研究論文に着目した目本の大学ベンチマーキング2015(2015年12月)

○2010~2014年の学部における全学生に占める留学生及び日本人派遣学生の割合の平均値が国内10位以内。(参考値5.8%以上)
(出典)学部における学生数:「学校基本調査(平成22~26年度)」。留学生数及び日本人派遣学生数:独立行政法人日本学生支援機構「外国人留学生在籍状況調査(平成22~26年度)」・「協定等に基づく日本人学生留学状況調査(平成22~26年度)」より

○2010~2014年の大学院における全学生に占める留学生及び目本人派遣学生の割合の平均値が国内10位以内。(参考値23.5%以上)
(出典)大学院における学生数:「学校基本調査(平成22~26年度)」。留学生数及び日本人派遣学生数:独立行政法人日本学生支援機構「外国人留学生在籍状況調査(平成22~26年度)」・「協定等に基づく日本人学生留学状況調査(平成22~26年度)」より

※なお、以上のデータは文部科学省が把握している最新のデータに基づくものであるが、このデータでは参考値を超えない大学において、大学が保有する最新データに基づくと、参考値に相当するものがある場合は、12月末までに御連絡いただきたい。そのデータをもって指定国立大学法人部会に諮り、申請可能と認められた場合は、当該大学の申請を可能とする。